アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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バイデン大統領の機密文書隠匿とウクライナ戦争

2023年01月14日 | 国家と戦争
   

 バイデン米大統領が、副大統領時代(オバマ政権)の機密文書を複数の場所に隠匿していた問題は、司法省が特別検察官を任命して捜査がすすめられていますが、注目されるのは、この問題がウクライナ戦争と無関係でないことです。

 バイデン氏のオフィス「ペン・バイデン・センター」(写真中)と自宅で発見された機密文書は、副大統領だった「2013~2016年」(CNNテレビ)のもの。
「CNNテレビは関係者の話として、ウクライナやイラン、英国に関する米情報機関のメモや説明資料が含まれていたと報じた」(12日付沖縄タイムス=共同)

 「2013~2016年」の「ウクライナ」といえば、2つの問題が想起されます。

1つは、「マイダン革命(クーデター)」(2014年)です。

 今回のロシアの軍事侵攻に始まるウクライナ戦争が「マイダン革命」と切り離せない関係にあり、「マイダン革命」とバイデン氏は密接な関係にありました(2022年3月28日、12月15日のブログ参照)。

「親ロシア派のヤヌコーヴィチ政権の失脚が可視化され、野党の動きが活発になったまさにその時、ヌーランド(米国務省)次官補とピオット(駐ウクライナ米国)大使が電話で会話し…「デモ後」を企てた。反対派(反ロシア派)のリーダーと連絡を取っていることを打ち明けた。誰が政権に入ってはならず、誰がふさわしいのかについて論議した。

 その構想を推進するには…自分たちより「国際的地位」が高い人物の介入が必要だと共感した。その人物とはジョー・バイデン副大統領(当時)だった。彼は介入する意志もあった。
 この電話での会話以降、米国政府がどう動いたのかについては、まだ公開されていない

(中略)バイデン政権は発足直後、ウクライナ政府に6億5000万ドル(約770億円)を支援することにした。ウクライナのクーデターを画策したヌーランド次官補は、バイデン政権で国務副長官に栄転した」(ソ・ジェジョン国際基督教大教授の論稿、ハンギョレ新聞2022年3月21日付日本語デジタル版)

 「マイダン革命」で親ロ政権を倒し、その後の親欧米政権樹立を画策し、巨額の軍事支援を行ってきたのがバイデン氏です。注目されるのは、ソ教授が指摘しているように、米政府が「マイダン革命(クーデター)」とその後の政権樹立に具体的にどう関わったかの詳細は、「まだ公開されていない」、すなわち機密事項だということです。

 今回バイデン氏の事務所や自宅で発見された機密文書には、その「マイダン革命」と米政府・バイデン氏との関係が詳しく記載されている可能性がきわめて高いと考えられます。

 もう1つは、バイデン氏の次男の「収賄疑惑」もみ消し問題です。

 次男の「収賄疑惑」とは、「次男がウクライナの企業(国営ガス会社ブリスマ・ホールディング)の役員に就任し、多額の報酬をもらっていた…という疑惑」(2020年1月29日付朝日新聞デジタル)です。

 重大なのは、「バイデン氏は副大統領だった2016年当時、西側諸国や国際機関が進めたウクライナの腐敗一掃に関連し、このガス会社を捜索していた当時の検事総長を解任させようとした」(2019年9月22日付朝日新聞デジタル)、すなわち次男の「収賄疑惑」をもみ消そうとした疑惑があることです(2022年12月24日のブログ参照)。

 この疑惑の真相も明らかになっていません。バイデン氏が隠匿していた機密文書の中には、この件に関するものも含まれていると考えられます。

 上記2つの問題は、バイデン氏個人とウクライナ(政府)の親密な深い関係を示すものであり、ひいては現在のウクライナ戦争に対してバイデン政権が巨額の軍事支援を行っていることとも無関係ではありません。

 バイデン氏が機密文書を隠匿したのは、これらの真相を隠すためだったのかどうか。
 いずれにしても、発見された機密文書でバイデン氏とウクライナの関係の真相が明らかにされることが期待されます。
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