アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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注目される「平和サミット・共同声明」のウクライナ譲歩

2024年06月14日 | 国家と戦争
   

 ウクライナのゼレンスキー大統領が呼びかけた「平和サミット」(15、16日、スイス)について先に、ロシアの参加を始めから排除し、「ロシア軍の撤退を」入口にする限り平和協議の場にはならない、と書きました(5日のブログ)。

 その後、NHKが11日のニュースで、独自に入手したとして、同サミットの「共同声明」案を報じました。それはきわめて注目されるものです。

 NHKによると、「共同声明」はゼレンスキー氏が提唱している「10項目の和平案」のうち、「原発の安全保障」「食料安全保障」「捕虜の解放と連れ去られた子どもの帰還」の3項目に絞られ、「ロシア軍の撤退」や「領土の回復」は含まれない、といいます(写真左)。

 ゼレンスキー氏が提唱している10項目とは、①核と放射線の安全②食料安全保障③エネルギー安全保障④捕虜と連れ去られた人たちの解放⑤領土の一体性・世界秩序の回復⑥ロシア軍の撤退と戦闘の停止⑦正義の回復⑧環境の保護⑨エスカレーションの防止⑩戦争終結の確認です。

 さらに、「共同声明」では、和平実現にはすべての当事者の関与が必要だ」として、今後の議論にロシアが参加することの重要性が強調される、ともいいます(写真中)。

 この報道通りなら、ウクライナの従来の姿勢・方針を大きく変更するもので、停戦・和平に向かう重要な一歩になりえます。

 一方、「平和サミット」への参加を拒否した中国とブラジルは、ロシアとウクライナ双方が参加する和平協議を支持することで一致していましたが、両国の共同案の概要がわかりました。

 その内容は、「①ロシアとウクライナ双方が同意して全ての和平案が公平に議論される和平会議を支持②援助拡大で人道危機を防ぐ③核兵器や生物化学兵器の使用反対-など6項目」(8日付沖縄タイムス=共同)です。「世界を引き裂き、政治や経済の集団をつくることに反対する」との文言も盛り込まれています(同)。

 中国外務省は11日の記者会見で、この中国・ブラジル共同案に対し、「101カ国・国際機関が前向きな回答をした」と発表しました(12日付京都新聞=共同)。

 「ロシアとウクライナ双方が同意して全ての和平案が公平に議論される」ことはまさに和平協議の前提条件です。遅きに失しているとはいえ、機は熟してきたといえるでしょう。

 ロシアとウクライナは今こそ停戦・和平協議のテーブルに着くべきです。それを国際的第三者機関が仲介し、世界の世論が注視・後押しし、1日も早い停戦・和平を実現しなければなりません。
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