アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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京都市長選で自民助けた立憲民主と政党不信

2024年02月07日 | 日本の政治と政党
   

 4日投開票の京都市長選挙は自民、立憲民主、公明、国民民主が推薦した松井孝治氏が当選しましたが、福山和人氏(共産党支援)との差はわずか約1万6千票(前回は約5万票差)。まさに「薄氷の勝利」(6日付京都新聞)でした。

 それでも同日、牙城の群馬・前橋市長選で敗北した自民は、「京都市長選で勝利した意義は大きい」(小渕優子選対委員長)と胸をなでおろしました。
 沈みかけている自民に浮き輪を投げて助けたのは、立憲民主党でした。

「結果的には松井氏が辛勝したものの、自民、立憲民主、公明、国民民主の相乗りでありながら、福山氏にここまでほぼ互角の戦いを強いられたのは、それだけ自民党主導の政治に不信感が強いからだろう。
 そして言っちゃ悪いけど、情けないのは立憲民主党だ。「ダブルスタンダード」という声が周囲からも上がっているように、与党と対立姿勢なのか何なのかよく分からない中途半端なスタンスが、結局、党の存在感を薄め、埋没していっているような気がしてならない」(仲岡しゅん氏・弁護士、5日付朝日新聞デジタル)

 埋没するだけなら自業自得ですが、立民が果たした役割はそれだけではありませんでした。

 第1に、一貫して「国政と京都市は関係ないと有権者に訴えた」(福山哲郎・立民京都府連会長、6日付京都新聞)ことです。

 今回の選挙は、自民が「裏金問題の逆風にさらされた選挙戦」(5日付朝日新聞デジタル)だったことは明白です。だから「自民の党本部幹部が応援に入ることはなく」「松井氏の演説会で伊吹文明元衆院議長は…裏金問題について「京都の市長選とは何の関係もない」と訴えた」(同)のです。

 「国政と京都市(地方選)は関係ない」というのは大きな間違いで、失政批判をかわそうとする自民のプロパガンダにほかなりません(1月31日のブログ参照)。事実、今回の京都市長選でも「毎日新聞の調査では、投票者の64%が「政治とカネ」の問題を「考慮した」と回答」(5日付毎日新聞デジタル)しています。
 立民は自民と一緒になってこのプロパガンダを吹聴したのです。

 第2に、立民の「ダブルスタンダード」は有権者の政党・政治不信をいっそう助長しました。

「国政の与野党は自民の裏金事件を棚上げして松井氏を推したが、有権者には理解に苦しむ構図となった。4割にとどまった投票率は、政党への不信感も示したと受け止めねばならない」(5日付京都新聞社説)

 「政党への不信感」という点では共産党も埒外ではありません。
 福山氏は今回が市長選3回目の立候補でしたが、過去2回の選挙では共産党はいずれも福山氏を「推薦」しました。しかし、「今回は「無所属・市民派」を前面に押し出す福山氏の方針を踏まえて支援にとどめ(た)」(12月9日付京都新聞)。共産党が前面に出るのを避けたのです。そこには「共産党への不信感」(あるいはその忖度)があったのではないでしょうか。

 選挙は国政、地方を問わず、時の政権の施策・政策と正面から対決し、政治の進路を問うべきであり、その政党の姿を有権者・市民にアピールすべきものです。
 そうしてこそ選挙が「参政権」としての機能を果たし、政治を変革する手段となり得る。今回の京都市長選はそのことをあらためて示したのではないでしょうか。
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