アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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統一教会被害の盲点・歴史教育の欠如

2022年11月10日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義
   

 国会では統一教会の被害を巡って「救済法」の制定が焦点になっています。被害の救済はもちろん必要ですが、統一教会の場合、洗脳による入会・献金を防ぐことが重要です。その点で、盲点になっている問題があります。

 統一教会問題に詳しい有田芳生・前参院議員は、教団の勧誘の手口、入会の動機についてこう語っています。

「教団は戦前戦中の軍国主義を理由に日本を「悪魔の国」と教えており、慰安婦問題などの歴史教育をうけていない若い女性たちは衝撃を受けて入会してしまう傾向がある」「植民地支配とかを初めて知って、それを(入会の)大きな動機にしてしまう素直な女性が多い」(9月1日付朝日新聞デジタル)

 これは「入会」だけではありません。
 教団の資金の大部分は日本信者による法外な「献金」によって賄われていますが、その「献金」にも日本の植民地支配の歴史が利用されています。

 韓鶴子総裁(写真左の右側。左側は夫の故・文鮮明)は、日本を「近代史における過ち」を犯した「許すことができない民族」だとし、「天の摂理」で「母の国」になった日本には「使命」があると述べます。

「韓鶴子が宣う日本に課せられた「母の国の使命」とは如何なるものなのか。「人間的に考えれば許すことができない民族」と贖罪意識を植え付けられた“母の国”日本の信者は「自分を顧みず全てを惜しみなく与え」続け、2018年まで毎年300億円を韓鶴子へ“感謝献金”として納めてきた」(鈴木エイト著『自民党の統一教会汚染』小学館2022年10月)

 植民地支配した韓国に対し「全てを惜しみなく与える」献金こそが「許すことができない民族」である日本人の「使命」だというレトリックです。これが統一教会の「教義」です。

「旧統一教会の教えでは…植民地支配で韓国を苦しめた日本は悪を代表するエバ国家で、韓国は正義を代表するアダム国家だとする。そこで日本は韓国に貢ぐことが使命とされ、旧統一教会の韓国や米国での活動資金を提供する責務があるとされる」(島薗進・東京大名誉教授、7月31日付朝日新聞デジタル)

 統一教会が「植民地支配」云々というのは、もちろん資金集めの手段に過ぎません。それは、東条英機内閣の商工大臣として植民地支配の先頭に立った岸信介を後ろ盾とし、植民地支配の歴史的責任を棚上げし続けた岸の孫・安倍晋三元首相と親密な関係を保ってきたことで明白です(写真中は岸と文鮮明)。

 しかし、統一教会の「教義」によって「植民地支配」の歴史を初めて知った人は、良心的な人ほど驚き、入会し巨額の献金をしてしまうのです。

 これは日本の学校教育が自国の近現代史をまともに教えていない結果にほかなりません。そして学校で日本の侵略戦争・植民地支配の歴史が正しく教えられないのは、歴代自民党政権がその歴史を隠ぺい・改ざんし、教育を統制してきたからです。
 統一教会に洗脳されて入会・献金した人々は、その自民党政治の被害者と言っても過言ではないでしょう。

 統一教会被害の重要な教訓の1つは、日本の侵略戦争・植民地支配の歴史を正しく教えること、自民党政権による歴史の隠ぺい・改ざんを許さないことです。
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