アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記101・「自粛」と「禁止」・アラート解除と知事選・PCR検査器具

2020年06月14日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「自粛要請」と称して「禁止」する危険

 12日、東京都は「アラート」を解除し、「ステップ3」と称してカラオケ店などの「休業自粛要請」を解除した。メディア(NHKはじめ)は、「〇〇ができるようになった」「○○が可能になった」と報じた。これはおかしい。

 休業や営業時間制限はあくまで「自粛要請」であり、「禁止」されていたわけではない。できなかった、不可能だったわけではないのだ。以前はメディアもその区別をつけていた。それがいつのまにか「できない」「不可能」に変わった。「自粛要請」が実質的に「禁止」になった。

 ここには重大な問題がある。営業や働き方、文化・芸術活動、さらに移動の制限・禁止は、人間の基本的人権に対する規制だ。それが容認されるのはよほどの場合であり、国家権力者にはその自覚が厳しく求められる。それを自ら表明したのがドイツ・メルケル首相のスピーチだった。

 ところが日本政府は、「禁止」しなかった。その代わりに市民の「自粛」に丸投げした。権力者(首相)は自ら責任を負うことなく、市民の「自己責任」に転嫁した。結果、「自粛警察」などという相互監視の風潮が生まれた。まるで戦前・戦中の「隣組」だ。

 これは法に対する市民の無自覚を広げる。自由・基本的人権と法の緊張関係に対する自覚を希薄にする。法によらない基本的人権の制限がまかり通ることになる。これは法治国家の瓦解、なしくずし全体主義に通じる。

 「コロナ禍」に乗じて、安倍晋三首相と小池百合子都知事によって、こうした危険な状況が日本で、首都東京で進行していることを見過ごすことはできない。

☆都知事選出馬とアラート解除

 東京都の「アラート解除」には専門家の間でも異論があった。まだ早いと。新規感染者が公式発表だけでも連日20人を超えている(11日=22人、12日=25人、13日=24人)。にもかかわらず小池知事は「解除」を強行した。なぜか。

 「ステップ3」に移行した12日、小池は知事選出馬を正式に表明した。告示(18日)まで1週間。すでに宇都宮健児氏が出馬表明している。これ以上出馬表明を遅らせることはできないが、「アラート」中に責任者が次の選挙へ軸足を移すことははばかれる。「アラート解除」は「知事選出馬表明の環境づくり」(11日夜のNHKニュース)だったのだ。

 自分の政治的思惑のためにコロナ対策方針を左右する。とんでもない話だ。それだけで小池に都知事の資格はない。

☆海外で活躍する日本のPCR検査器具

 9日のニュースによれば、フランスではPCR検査が広範囲に実施されているが、それを支えているのは日本の中小企業(千葉県)が開発したPCR検査器具だ。迅速かつ安全に検査できる。フランスに限らず、各国から引く手あまたという。

 さすがに日本の中小企業は優秀だ。ところがその器具は当の日本では使われていない。承認手続き中でまだ認可されていないという。日本政府がこれまでPCR検査を軽視(無視)してきたからだ。

 日本の中小企業のすぐれた検査器具が海外で活躍する一方、日本は世界に冠たるPCR後進国。まったくおかしな、腹立たしい話だ。安倍長期政権の無為・無策・医療福祉軽視のツケが各方面に蔓延している。

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