アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「朝鮮半島の非核化」日本は何をすべきか

2018年04月28日 | 朝鮮半島・在日コリアン差別と日本

     

     

 韓国と朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の歴史的な首脳会談(27日)に対し、日本のメディアや「識者」からは、「金正恩委員長のパフォーマンス」「融和ムードをアピール」「米朝会談の前哨戦」などのコメントが聞かれます。どれも的を外れていると言わざるをえません。

  もちろん、今後の展開は予断を許しませんが、27日の両首脳の言動、共同宣言の「板門店宣言」は、「パフォーマンス」でも「ムード」でも「前哨戦」でもなく、それ自体、歴史的な画期となる大きな意味を持っています。

 私は生中継を見ながら、厳しい歴史と現在の困難な政治状況の中でここに至った両首脳・両国に、あらためて朝鮮民族の英知をみる思いでした。

  問題は、日本、私たち日本人です。

  私たちはこの日の出来事を、第三者的・評論家的立場で眺め、論評することは許されません。その意味は2つあります。

  1つは、朝鮮半島の分断・苦悩の歴史と現状は、日本の侵略・植民地支配が発端・元凶だということです(21日のブログ参照)。

  もう1つは、「朝鮮半島の非核化」に対する日本(日本人)の責任です。

  メディアの論評には、「板門店宣言」が「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」としている点が問題だとし、また「非核化」のプロセスが述べられていないので「不十分」だとするものが少なくありません。
 しかし、「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」としたことにこそ、逆に「宣言」の優れた特徴があると言えます。

 「北朝鮮の非核化」と「朝鮮半島の非核化」ではまったく意味が異なります。

 「朝鮮半島の非核化」には当然「北朝鮮の非核化」が含まれますが、「北朝鮮の非核化」だけを問題にする場合は韓国にあるアメリカの核兵器は撤去されないことになります。アメリカや安倍首相が「北朝鮮の非核化」は要求しても「朝鮮半島の非核化」は口にしないのはそのためです。

  しかし、朝鮮半島にとって、また東アジア、世界の平和にとって必要なのは、「板門店宣言」の通り、「北朝鮮の非核化」にとどまらない「朝鮮半島の非核化」です。

 この違いはきわめて重要です。そして、この点にこそ日本(日本人)の責任と役割があります。「朝鮮半島の非核化」はけっして”他人事“ではありません。日本は当事者のひとりとしてその実現に積極的な役割を果たさねばなりません。 

 そのために日本がすべきことは、主に2つあると思います。

 1つは、核兵器禁止条約の批准です。

  「南北首脳会談」と時を同じくしてジュネーブではNPT(核不拡散条約)準備会合が行われています。昨年核兵器禁止条約が採択されて初めての会合ですが、日本から出席した被爆者(日本被団協事務局次長・児玉三智子さん)の訴えにもかかわらず、アメリカは「核抑止力」論への固執を露わにしました。そのアメリカに追随して核兵器禁止条約に背を向け続けているのが日本(安倍政権)です。

 自国が持つ大量の核兵器には手を付けず、朝鮮に「非核化」を迫るアメリカの姿は核超大国の傲慢・横暴そのものです。それが「朝鮮半島の非核化」に逆行していることは明らかです。

 日本がすべきことは、朝鮮にだけ「非核化」を求めるのではなく、アメリカをはじめすべての核保有国に核兵器の放棄を求めることです。その具体的な意思表示が核兵器禁止条約の批准です。

 もう1つは、日米軍事同盟(安保条約)の解消です。

 朝鮮半島の平和と安定を脅かしている元凶はアメリカの大国主義的東アジア戦略です。そのアメリカに日米軍事同盟で目下の同盟国として追随しているのが日本です。戦争法(安保法制)制定以後、自衛隊は米韓合同軍事演習にも公然と参加するようになりました。そこには過去の朝鮮侵略・植民地支配の反省はまったくありません。

 「核抑止力」論とともに、「軍事同盟抑止力」論に固執する限り、軍拡競争は止まりません。沖縄をはじめ在日米軍基地が被害をまき散らしている日米軍事同盟=安保条約は国内的にも市民生活を脅かすものでしかありません。

 朝鮮半島が歴史的段階に入ろうとしている今こそ、日本は「安保タブー」を打破して日米軍事同盟を根本的に見直し、それを解消(安保条約を廃棄)し、「非同盟・中立の日本」へ向かうべきです。
 それが朝鮮半島の非核化・平和に対する日本、日本人の歴史的な責任ではないでしょうか。

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