アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

先島陸自基地・駐日米大使視察直後に「撮影禁止」看板

2024年05月22日 | 沖縄と日米安保・米軍・自衛隊
   


 沖縄タイムス(20日付)によると、19日、陸上自衛隊石垣駐屯地と宮古島駐屯地に、基地「撮影禁止」の看板が設置されました。「撮影」だけではなく、「宣伝ビラ、プラカード、拡声器等の使用」「座り込み」なども「固く禁止」するとしています(写真左・中)。

 基地内にはもちろん許可なく立ち入れないので、看板が「禁止」するとしているのは、施設の周辺の公道における行為であることは明らかです。防衛省・自衛隊に公道における住民の行動を「禁止」する権限などないことは言うまでもありません。「禁止」掲示の不当性・不法性は明白です。

 この掲示は私が宮古島駐屯地周辺を見た16日にはありませんでした。私も公道から基地内を撮影しました。それがなぜ19日に急に「禁止」が掲示されたのか。

 17日のエマニュエル駐日米大使の与那国島、石垣島訪問(写真右=琉球新報より)、そして両島の陸自駐屯地視察が契機になったと考えざるをえません。

 同大使は、沖縄県が再三自粛するよう申し入れていたにもかかわらず、米軍機で両島を訪れました。これには在沖米軍トップの四軍調整官と陸自幹部が同行しました。

 与那国では記者団に対し、「「中国」と何度も口にしてけん制…さらなる防衛力強化を訴えた」(18日付琉球新報)のです。

「地元の要請を無視し、戦争に巻き込まれるのではないかと不安を覚える住民感情を逆なでする訪問の仕方は、外交官にあるまじき横暴な振る舞いだ。…米軍による空港使用の先例をつくり、平時からのインフラ使用をなし崩しに実施していく狙いがあるとしか考えられない。…今回の大使による陸自駐屯地の視察は、米軍の指揮の下に自衛隊が「台湾有事」の前面に出ていく想定で一体化が進んでいることを米国が見せつけたと言えよう」(19日付琉球新報社説)

 同大使の先島訪問・陸自視察について林芳正官房長官は、「南西地域の防衛体制強化の取り組みについて米大使が理解を深めるのは有益なことだ」(17日の記者会見)と歓迎しました。

 「外交官にあるまじき横暴な振る舞い」をしたエマニュエル氏はバイデン大統領の盟友。シカゴ市長時代(2014年)、市警察が黒人少年を射殺した事件に対するエマニュエル氏の態度が問題になり、民主党支持団体からも駐日大使への起用に反対する声が上がっていました。

 また、先日のトランプ前大統領の不倫口止め裁判では、メディア企業の社長が「トランプ氏への協力と同様に、エマニュエル駐日米大使のスキャンダルを過去にもみ消したことがあると証言」(4月27日付京都新聞=共同)しました。

 エマニュエル氏の先島訪問・陸自視察は、米軍と自衛隊の一体化、沖縄の民間空港・施設の軍事(米軍・自衛隊)使用拡大へ先鞭をつけることを図ったものです。
 与那国、宮古島の陸自駐屯地が基地周辺の住民の抗議行動を抑圧する「禁止掲示板」を設置したのは、米軍との一体化を強める自衛隊の横暴がますますエスカレートしていることを示しています。

 日米安保条約の下で沖縄の危険性がいっそう強まっている現実を、「本土」の私たちは直視し、沖縄の人たちとともに反対の声を上げていかねばなりません。

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