アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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沖縄浦添市長選の教訓・平和民主勢力は玉城知事と決別を

2021年02月09日 | 沖縄・米軍・自衛隊

    
 7日投開票の沖縄・浦添市長選は、自民・公明推薦の現職・松本哲治氏が、日本共産党、社民党など「オール沖縄」の伊礼悠記氏を大差で下しました。伊礼氏の敗因は何だったのでしょうか。

 今回の浦添市長選の最大の争点が、米軍那覇軍港の浦添市内への移転問題であったことは周知の事実です。松本氏は前回選挙の「反対」から今回は「賛成」に無節操に変わりました。伊礼氏の公約は「反対・移設なし返還」でした。軍港移設は、辺野古新基地建設と本質的にまったく同じ問題です。「辺野古新基地」に反対の伊礼氏が「軍港移設」に反対するのは当然です。

 ところが、「オール沖縄」で伊礼氏を支援した玉城デニー知事(写真右)は、松本氏と同じく、軍港移設賛成です。これは玉城氏が「翁長前知事の移設容認の方針を踏襲している」(8日付琉球新報社説)からです。

 たんに賛成というだけではありません。玉城氏は市長選の最中、軍港移設について、「速やかに進められていくべきだと認識している」(2日の那覇港管理組合会議の定例総会で)と公言しました(3日付沖縄タイムス)。これが伊礼候補の足を引っ張る利敵行為であったことは明白です。

 松本氏は当然、伊礼氏のこの弱点を突きました。琉球新報(3日付)の「紙上クロス討論」で松本氏は伊礼氏にこう迫りました。
 「軍港反対を唱えながら…移設容認の翁長、玉城知事や城間那覇市長を応援し移設を黙認してきた。軍港移設が最大の争点ならば、なぜこれまで移設を阻止する具体的で効果的な行動を起こさなかったのか」
 これに対する伊礼氏の答えはこうでした。「知事や那覇市長とは「建白書」の実現を目指す「オール沖縄」で結束している」。
 これでは答えになっていません。この応答で選挙の勝敗は決したといえるのではないでしょうか。

 これは伊礼氏個人の能力や資質の問題ではありません。「オール沖縄」自体の根本的矛盾です。「辺野古反対」といいながら「軍港移設賛成」の翁長氏や玉城氏を「オール沖縄」はかついできたのです。
 軍港問題が争点にならない選挙(例えば1月17日投票の宮古島市長選)ではこの矛盾は表面化しませんが、浦添市長選ではそうはいきません。最大の争点で「オール沖縄」の根本的矛盾が露呈した。玉城知事がその矛盾を鮮明にした。これが今回の浦添市長選の敗因です。

 問題は、来年の沖縄県知事選です。

 知事選では、辺野古新基地、軍港移設とともに、自衛隊の沖縄配備=宮古島、石垣島など離島のミサイル基地化、嘉手納や辺野古(キャンプ・シュワブ)などでの米軍と自衛隊の一体化が大きな争点になることは間違いありません。いいえ、大きな争点にしなければなりません。

 その知事選を、玉城氏でたたかえるでしょうか。玉城氏は自衛隊の沖縄配備強化に反対していません。「住民と協議すべきだ」というだけです。前回の知事選立候補直前まで沖縄防衛協会の顧問を務めていた玉城氏が、自衛隊配備に反対するわけがありません。もともと玉城氏は、日米安保・自衛隊強化の先頭に立ってきた小沢一郎元自民党幹事長を「政治の師」と仰いでいます。これが玉城氏の政治信条です。

 米軍基地も自衛隊基地も言うまでもなく同じ軍事基地です。沖縄の基地負担強化に反対するなら、自衛隊の基地強化にも当然反対しなければなりません。しかし玉城氏にはその先頭に立つ能力も意思もありません。

 沖縄の基地負担軽減・基地撤去をめざす平和・民主勢力は、1日も早く玉城デニー氏と決別すべきです。そして来年の知事選では、文字通り「米軍基地にも自衛隊基地にも反対する」候補者を擁立すべきです。その準備を早急に開始すべきです。それが今回の浦添市長選の最大の教訓ではないでしょうか。


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