アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記135・「親子は別人格」と言うなら・「母子事件」の“真犯人“

2021年02月07日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「親子は別人格」と言うなら

 4 日、息子の接待疑惑を追及された菅義偉首相は、「親子は別人格だ」と言って追及をかわした(衆院予算委員会)。親子は別人格、と私も思う。しかし、菅首相の弁明をそのまま聞き流すわけにはいかない。「親子は別人格」というなら、首相として直ちにやらねばならないことが、少なくとも2つある。

 1つは、自民党の改憲草案が、「家族は互いに助け合わねばならない」(草案第24条)とする項目を新設し、家父長的「家族制度」の明文化をはかろうとしていることだ。この改憲案を直ちに廃棄しなければならない。

 もう1つは、厚労省が生活保護の申請者に対して行っている「家族調査」をやめさせることだ。
 生活保護を申請に行くと、行政は「扶養できる親族はいないのか」としつこく訊く。子どもがいるというと連絡して確認しようとする。それがホームレスなどの生活保護申請をどれだけ抑止(妨害)しているか。家族(子ども)には迷惑をかけたくない、今の生活も知られたくない。それが生活保護申請をためらわす。

 言うまでもなく、生活保護は憲法25条に基づく当然の権利だ。乏しい日本の福祉の最後のセーフティネットだ。私もいざとなったらその権利を行使しようと思っている。
 「別人格」の家族(子ども)への確認など必要ない。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は一人ひとりの固有の権利だ。

☆「母子事件」の“真犯人“

 3日、熊本県で27歳の母親が3歳の長男に「暴行を働いた」容疑で逮捕された。母親はトラック運転手。「言うことをきかないので、かっとなってやった」と述べているという。長男は翌日、死亡した。後日、母親は3年前から市に悩みを相談し、市は週1回「子育て見守り支援」をしていたという。残念でならない。

 報道でははっきり言われていないが、おそらくシングルマザーだと思われる。この種の事件が後を絶たない。もちろん、法律では母親は裁かれる。しかし、“真犯人”ははたして母親だろうか。

 シングルマザーを経済的に追い詰め、心身ともに疲労の極致に陥れている日本の政治・大企業中心社会、そしてSOSを発しても救えない(救わない)行政こそ真犯人ではないか。

 そしてもう一人、忘れてならないのが、子どもの父親だ(死別は別にして)。男が養育(費)の義務を果たしていたとは思えない。親としての責任を果たさず母親にすべての負担をかぶせて姿を消した男・父親こそ、もっとも責任が問われるべきではないか。

 苦難の母親は「犯人」にされ、名前も顔もテレビにさらされ、逃げた父親は知らん顔で、どこかで安穏に暮らし続ける。こんな社会は、間違っている。

 


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