アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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特措法・感染症法改悪に見る国会形骸化の2つの元凶

2021年02月02日 | 日本の政治と政党

    
 憲法が保障する基本的人権を様々に制約するコロナ特措法「改正」、感染者への差別・偏見を助長し感染対策にも逆行する感染症法「改正」。この重大な改悪案が、1日の衆院内閣委員会で審議入りし、2日後の3日には成立すると言われています。とんでもないことです。国会の形骸化も甚だしいと言わねばなりません。なぜこういうことになったのでしょうか。

 今回の特措法・感染症法改悪で露わになった国会の形骸化には、2つの元凶があります。

 1つは、自民党と立憲民主党の2党による密室協議(談合)です。

 これまでも他の野党を排除し2党の国対委員長会談で国会運営を決めるという異常なやり方は常態化していましたが、今回は法案の「修正」、さらにそれをスピード成立させることまで2党間で決めてしまいました。

 自民党の二階俊博幹事長と立憲民主党の福山哲郎幹事長が「修正」合意したあと(1月28日、写真中)、二階氏が「今後もスピーディーな国会運営に協力をお願いしたい」(29日付中国新聞=共同)と立民に秋波を送ったのは、2党の“蜜月”ぶりを示すものです。

 立憲民主党のこうした姿勢はけっして一時的なものではありません。「政権批判一辺倒  立民が脱皮図る」(27日付中国新聞)と報じられているように、政府・自民党との妥協・協調路線は党の基本方針です。「野党を抱き込み早期に改正案を成立させたい政権側にとって、立民の新路線は好都合」(同)この上ありません。

 もう1つの元凶は、政令と付帯決議の乱用です。
 法律「改正」の重要なポイントを法律には明記せず、政府が勝手に決める「政令」に委ねたり、努力目標にすぎない「付帯決議」に回す。そして中身がスカスカの法案をスピード成立させる。

 例えば、特措法で新設する「まん延防止措置」の「客観的基準」や「国会への速やかな報告」、感染症法「改正」の「過料を科す場合の判断基準」、罰則に対する「不服申し立ての権利」など、まさに法案の肝になる事柄は、ことごとく「付帯決議」にされています。

 自民と立民が「修正合意」した翌日の新聞はこう報じています。
 「「まん延防止等重点措置」の発令要件は不透明なままだ。西村康稔経済再生担当相は「法律に基準を書き込むと機動的に使えなくなる」と説明し、詳細を政令で定めるとした」(1月29日付中国新聞=共同)

 驚くべき発言です。法律に必須の「基準」は書き込まない、なぜなら「機動的に使えない」すなわち政府の思い通りに使えないから、だというのです。これこそまさに立憲主義の蹂躙であり、独裁政権の言い分にほかなりません。それを平気で公言し、問題にもならず通ってしまう。この日本の現実に、今さらながら戦慄をおぼえます。

 こうした独裁政治が、自民党と立憲民主党の「2大政党」による談合(癒着)で急速に進行しています。「国権の最高機関」である国会の機能は、いまや風前の灯です。私たちは「主権者」としてけっしてこれを座視することはできません。

 立憲民主党は幹部のみならず所属しているすべての国会議員が、そして、立民との「野党連合」に執着しその暴走を許している日本共産党も、その政治責任が問われていることを銘記すべきです。


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