今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[五阡二百円]
桜まつりを目前に控え、さまざまな「さくら草履」を編んでいます。「今日の草履」もその一つで、美しい夜桜をイメージする配色ですね。三日前に編んだこちらは、その日のうちに秋田市からお越しの女性がお持ち帰りになりました。あと2足分の材料がありますから、お休みが明けたらまたすぐ作ろうと思っています。
「欲しいんだけど持ち合わせがない」。お客様との日々の出会いで、こうしたケースがたびたびあります。近々お立ち寄りいただける距離であれば「次来たときに…」で済むのですが、全国からお客様がお越しになる角館の場合はそうとばかりもいきません。在庫がなくオーダーであればお送りする草履の中に振替用紙の同封で済むとして、展示してある現品がお気に入りのときはお客様もあきらめきれないんですね。
そうした場合私は、郵便振替用紙と草履の現品をお渡しするようにしています。お客様にしてみれば代金を支払わずひとまず品物を持ち帰るわけですから、日常のお買いもので珍しいケースでしょう。まして相手は旅先で偶然巡り会った草履職人ですからなおさらです。これまで一年にお一人か、多くてお二人ほどこんなケースがありました。
先日メールでご注文をくださった茨城県のおばさまも、初めてのお買い上げはこのケースです。このたびは息子さんご夫婦へのプレゼントオーダーで、角館での出会いがメールに綴られていました。草履の「後払い」が角館の想い出にしっかり残ってくださったのでしょう。
「今日の草履」のように、定番にない配色は出会ったときがご縁です。そうしたお客様に履いていただくのが草履も嬉しいはずです。後払いや先払いといったお金の支払い方は、なにほど重要とは思えません。