角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

なくてはならない存在。

2015年07月28日 | 地域の話




今日の草履は、岩手県盛岡市のおばさまのオーダー草履です。かねてからご愛用者であるおばさまは、いつ壊れてもいいように「買い置き」とのことでお訪ねでした。ありがたいことに角館草履が、おばさまにとって「なくてはならないもの」になってくれたんですね。ご希望配色を「完全おまかせ」で2足のご注文です。その1足がこちら、華やかな草履にしてみました。本日の便で出発です。明日届きますよ~(^^)/

角館あきんど塾の仲間でもある「角館さんさん」が、今年九月でお店を閉めることになりました。九年の歴史です。消費意欲をそそる斬新で的確なデザイン商品を数多く発表していたお店は、お祭り用品を中心に根強いファンを獲得しました。角館にとって「なくてはならない存在」に成長したと思っています。おそらく自身もその点において違和感はないでしょう。

私が西宮家で草履を編むようになったのが十一年前。角館さんさんの歴史に近いことと、共にオリジナルで勝負してきたこと、年齢も一つ違いという共通性がありました。ですから仲間を超えて、「同志」のような感覚でいたのは間違いありません。角館で角館にしかないものを創り上げるという「志」も同じです。初めて閉店の話を聞かされたときは、正直残念で仕方ありませんでした。

角館さんさんは小売店としての形を消し、クリエーターとして商品開発の道に特化した活動に変わります。それが彼女の「原点に立ち返る」なのでしょう。たとえ「志」が同じくとも、高杉晋作と久坂玄瑞では道が違っていました。それはそれで善しと心得ています。
コメント (2)
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