角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

言葉遣いと職業。

2013年04月19日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
ベースの和柄は赤紫と言えばいいのでしょうか、なかなかお洒落な趣があります。紫系は様々な配色の中でも人気が高く、女性であれば年齢問わずお好きな方がいますね。「今日の草履」は、どのような女性がお選びになるでしょうか。

当たり前ですが、実演席では日々初対面のお客様と多数出会います。これも当たり前ですが、初対面の方と初めて言葉を交わすときに、いきなり「タメ口」ということはありません。それはお客様の年齢と基本的に無関係です。

ただしお客様にしてみれば、草履を編んでいるおっさんに対して、ことさらに丁寧な言葉遣いや礼儀正しい行動を期待しているわけではないでしょう。ですから2、3分後には、お互いに気取らない程度の話し言葉になるのが珍しくありません。

昨日の夕方、東京からお越しのおばさま二人旅が立ち寄られました。うちのおひとりが定番配色①の22cmをご希望でしたが、あいにく昼のうちにお選びの方がいました。それでも自宅に在庫があるのは分かっていましたから、閉店後ご宿泊のホテルへお届けすることにしたわけです。

ホテルのフロントスタッフさんにお客様の名前を伝え、ロビーまで出てもらえるよう内線電話を依頼すると、『はい、かしこまりました。恐れ入りますが、ご用件をどうお伝えしましょうか?』。
『草履屋が来たと言ってくれれば分かりますよ』と言うと、早速電話してくれました。

『もしもし、○○様でいらっしゃいますか。ただいま草履屋さまがフロントロビーにお越しです』。

さすがは礼儀正しいホテルのスタッフさん、「草履屋さま」と呼ばれたのは初めてでしたね。
コメント
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