角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

女の子の成長。

2011年02月25日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
青紫基調の桜花プリントをベースに、紫のグラデーションを三箇所に配してみました。赤系の明るさはないのですが、紫系には独特のお洒落感があると思っています。「今日の草履」などは紫系お任せのご注文にお送りしたら、さぞ喜ばれるような気がしますね。

ちょうどそのようなお電話を、つい先日頂戴しました。東京にお住まいのおばさまは今冬はじめて角館を訪れ、縁あって西宮家にも立ち寄られたんですね。そしてご自分用の草履をお買い上げくださいました。

ご自宅で草履生活がはじまり、その履き心地を日常に体感するようになって、ご家族全員で履こうということになったそうです。お好きな配色をうかがうと、5足のご注文のうち3足が「紫系」でした。18cmの女の子も紫をご希望と聞いて、茶目っ気たっぷりの大人びた女の子を連想したものです。草履はすでに到着している頃でしょう、みなさんで楽しく履いてくださいね~。

二十歳代後半と思しき女性がひとりお越しです。『寒くないですか?』の問いかけに、『大丈夫ですぅ。こっちへ来てずーっと暖かいもんだから、助かってますぅ』。
言葉の端々に関西訛りが分かりました。「こっちへ来てずーっと」の言葉が少し気になり、『のんびり旅なんですか?』と訊いてみると、『あっ、実は旅でもないんですけど、一週間くらいになりますね。こっちの結婚式に来てた母が、ちょっと病気で入院することになって。でも明日には退院できそうなんで、今日は一日ブラブラしてますぅ』。

以前のブログでも触れましたが、旅の途中で病になり、角館の病院に暫時入院とおっしゃる方を複数知っています。中には入院生活が数ヶ月に及ぶ方もいらっしゃいましたから、今日の女性のお母上は入院期間も病名もまだ良いほうに思えました。
重篤な状態でないというのは女性の朗らかな話し方にも分かったのですが、もうひとつ女性にはこの出来事で新たな発見があったようです。

『父とふたりで母の元へ来たんですけど、父といろんな話をするのもこういう機会がなければねぇ…』。
女性はご結婚されて世帯が変わったそうです。暮らす家が変われば日常の何気ない会話もなくなりますし、子育てしている二十歳代後半であれば自身の生活もさぞ多忙でしょう。当然ながら実家に暮らすお父上との繋がりは推して知るべしですね。
女性はお母上の急病でお父上とふたり角館へ来たことで、すこしだけお父上との繋がりが蘇ったと感じたのでしょうか。

わが家の双子は人生の新たな一歩を踏み出すべく、間もなく私とカミさんの元を巣立ちます。茶目っ気たっぷりに笑わせてくれた幼児期も今は昔、思春期を迎えてからのオヤジとの会話は、以前に比べればずいぶん減りました。
この先十年後くらいに好きな男性と家庭を作るときが来たら、そのときは大人対大人で話ができるんでしょうかね。
コメント
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