角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

「土踏まず付き」人気の陰に‥。

2007年08月23日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
濃紺地に白うさぎが可愛い綿生地をベースに、緒はエンジです。文句なし、可愛い草履と言えるでしょう。

久しぶりに青空が戻った今日の角館、天気は回復しても気温はさほど上がりませんでした。
横浜市からお越しのご夫婦、『やっぱりこっちは涼しいわねぇ』。たった一週間前は、『秋田も東京も同じねぇ』と言われてたのがウソのようですね。暦を見ると今日は「処暑」、角館はすっかり秋の気配です。

数日前から展示パネルの草履が僅かしか残ってません。『履きたい!』とおっしゃってくださるお客様は必然的にオーダーとなるわけですが、この何日かのオーダーにちょっとした“異変”が起きています。それは「土踏まず付き」の圧倒的な多さなんです。

これまでは潤沢と言えないまでも展示品がありました。その展示品はすべて土踏まずの付かないこれまでの草履です。すぐにでも履きたい、あるいはお土産に持参したいお客様は、「土踏まず付き」に関心を寄せながらも展示品をお持ち帰りでした。
それがここ数日は持ち帰れる草履がないわけですから、どうしてもオーダーになります。すると、『どっちにしろ作ってもらわなきゃいけないんなら、土踏まずがあったほうがイイわねぇ』とおっしゃるお客様がとても多いんですね。

おそらく今シーズン開幕から「土踏まず付き」が在庫としてあったなら、そっちをお選びのお客様が相当数いらっしゃったと思います。今シーズンが終了する晩秋まで様子を見て、来年の開幕はまた少し考えを変える必要があるかも知れません。

これまで「土踏まず付き」を試し履きして、『う~ん、あんまり感じないなぁ』とおっしゃった方がほんの僅かながらいました。おひとりのおばさまは、『私は靴下が嫌いで、冬でも家にいるときは裸足なのっ』。以前のブログでも触れましたが、人間の足が存分に力を発揮できる姿は「はだし」です。多くのデータを持っているわけではないのですが、おそらく足の健康を維持されている方には、「土踏まず付き」が必要ないのかも知れません。

そう考えると、この「土踏まず付き」の人気も喜びだけではなくなりますね。現代を生きる私たちは、足に相当の「不健康」を持っているということでしょうか。

コメント
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