手持ちのギターの1台がこのところ特定のフレット上の特定の弦の音を弾弦すると、詰まったような音がするようになったことに気が付いた。
きっかけはグラナドスのスペイン舞曲第5番アンダルーサの冒頭の6弦と5弦の不協和音を弾いた際に、6弦6フレットを押さえている音がボン、ボンと、詰まったような音ですぐに減衰してしまうことであった。
スペイン舞曲第5番アンダルーサの出だしの音 2024年2月22日
最初に疑ったのは力木(ブレーシング)の剥がれであったが、特定の音だけに症状が現れているのでこれが原因の可能性は無いことが分かった。
何故ならば、6弦を6フレット上で弦を指板の中心方向にスライドし弾弦してみると症状が改善されるからである。
他のフレットの音で同様の症状が出ていないか調べてみると6弦、9フレットの音も、6フレットの音ほどではないにしても詰まり気味であることが分かった。
そして両者の音に共通なのは、フレットの中心寄りに弦をスライドさせて弾弦すると詰まりが解消されることと、フレットのそばを押さえると若干症状が改善されるが、フレットとフレットの真ん中を押さえると音の詰まりが著しくなることであった。
そこでネットで色々調べて分かったことは、この音の詰まりの症状はフレットの浮きに起因している、ということであった。
確かにフレットの根本と指板の接触部を注意深く観察してみると、隙間が空いている。
正常な音の出るギターのフレットと比べてみると一目瞭然だ。下の写真の楽器は、フレットの根本が完全に指板に密着しており、隙間は無いか、あってもごくわずかである。
さらにネットで調べてみると、音の詰まりの症状を経験した方がブログで解説した記事が見つかり、その記事によると、コインでフレットを叩くことでフレットが浮いているかどうか判定出来るのだという。
すなわち、コインでフレットを叩いた音の「響き」具合で、フレットの浮きが識別出来るということらしい。
早速試してみたら、そのとおりであった。
下の録音は、13~19フレットの6弦側と1弦側のいずれも弦の外側のフレットをコインで叩いた音であるが、フレットが指板に密着しているため、音の振動がフレット→指板→表面板と伝わって、カンカンと気持ちよく響いている。
①6弦側&1弦側、13~19フレットをコインで叩いた音 2024年2月22日
次に同様に、1~12フレットの6弦側と1弦側のいずれも弦の外側のフレットをコインで叩いた音も録音してみた。
この結果、以下のことが分かった。
②弦側&1弦側、1~12フレットをコインで叩いた音 2024年2月22日
・6弦側のフレットで著しく鈍い音のしたフレット→6、7、9フレット
・6弦側のフレットでやや鈍い音のしたフレット→2、4フレット
・6弦側のフレットで少し鈍い音のしたフレット→5、10、11,12フレット
・1弦側のフレットで著しく鈍い音のしたフレット→5フレット
・1弦側のフレットでやや鈍い音のしたフレット→2、6フレット
上記で著しく鈍い音のしたフレットの場合、殆ど全く音が響かないのですぐに識別できる。
鈍い音がするのは、フレットが指板から浮いているために、弦の振動がフレットから指板に伝わらずに減衰してしまうためである。
以上が詰まった音の原因である。
では何故、フレットが浮いてしまうのであろうか。
これも色々調べてみると、指板の両脇が指板の中心部に比べて摩耗する傾向があり、フレットが浮いたというよりも指板が痩せたために、フレットと指板の表面との間に隙間が空いた、という原因を説明されているリペアマン(エッレキギターやアコースティックギター専門)の方がいた。
しかし今回症状の出たギターは使用頻度が少なく、指板もフレットも殆ど摩耗していないものであった。
では何故、フレットが浮いたのか。
答えは新品に近い楽器でもフレットが浮くことは十分にあり得るということだ。
何故ならば、1990年代半ばに兄が上京して、私の付き添いのもとに現代ギター社を訪れ、河野賢氏の楽器(確かマエストロの次のグレードだったと思う)を購入し、北海道に持ちかえってからそんなに月日が経過していないのにもかかわらず、フレットが浮いてしまうという症状が出たからだ。
恐らく、急激な環境の変化、湿度や温度の変化によるものではないかと思われる。
指板が湿度や温度の変化で収縮したことで、フレットとの密着が解かれ、徐々に浮いてきたのではないかと思うのである。
ちなみにこの兄の楽器は補償による修理でフレットを打ち直してもらったとのことだ。
高級ギターだからといってフレットが浮かないという保証は無いといういい事例だ。
もし、音の伸びが悪く、減衰の速いような楽器の場合、フレット浮きが原因の場合があるので上記の方法で調べてみてはどうだろう。
私の楽器も近々修理に出す予定だ。
きっかけはグラナドスのスペイン舞曲第5番アンダルーサの冒頭の6弦と5弦の不協和音を弾いた際に、6弦6フレットを押さえている音がボン、ボンと、詰まったような音ですぐに減衰してしまうことであった。
スペイン舞曲第5番アンダルーサの出だしの音 2024年2月22日
最初に疑ったのは力木(ブレーシング)の剥がれであったが、特定の音だけに症状が現れているのでこれが原因の可能性は無いことが分かった。
何故ならば、6弦を6フレット上で弦を指板の中心方向にスライドし弾弦してみると症状が改善されるからである。
他のフレットの音で同様の症状が出ていないか調べてみると6弦、9フレットの音も、6フレットの音ほどではないにしても詰まり気味であることが分かった。
そして両者の音に共通なのは、フレットの中心寄りに弦をスライドさせて弾弦すると詰まりが解消されることと、フレットのそばを押さえると若干症状が改善されるが、フレットとフレットの真ん中を押さえると音の詰まりが著しくなることであった。
そこでネットで色々調べて分かったことは、この音の詰まりの症状はフレットの浮きに起因している、ということであった。
確かにフレットの根本と指板の接触部を注意深く観察してみると、隙間が空いている。
正常な音の出るギターのフレットと比べてみると一目瞭然だ。下の写真の楽器は、フレットの根本が完全に指板に密着しており、隙間は無いか、あってもごくわずかである。
さらにネットで調べてみると、音の詰まりの症状を経験した方がブログで解説した記事が見つかり、その記事によると、コインでフレットを叩くことでフレットが浮いているかどうか判定出来るのだという。
すなわち、コインでフレットを叩いた音の「響き」具合で、フレットの浮きが識別出来るということらしい。
早速試してみたら、そのとおりであった。
下の録音は、13~19フレットの6弦側と1弦側のいずれも弦の外側のフレットをコインで叩いた音であるが、フレットが指板に密着しているため、音の振動がフレット→指板→表面板と伝わって、カンカンと気持ちよく響いている。
①6弦側&1弦側、13~19フレットをコインで叩いた音 2024年2月22日
次に同様に、1~12フレットの6弦側と1弦側のいずれも弦の外側のフレットをコインで叩いた音も録音してみた。
この結果、以下のことが分かった。
②弦側&1弦側、1~12フレットをコインで叩いた音 2024年2月22日
・6弦側のフレットで著しく鈍い音のしたフレット→6、7、9フレット
・6弦側のフレットでやや鈍い音のしたフレット→2、4フレット
・6弦側のフレットで少し鈍い音のしたフレット→5、10、11,12フレット
・1弦側のフレットで著しく鈍い音のしたフレット→5フレット
・1弦側のフレットでやや鈍い音のしたフレット→2、6フレット
上記で著しく鈍い音のしたフレットの場合、殆ど全く音が響かないのですぐに識別できる。
鈍い音がするのは、フレットが指板から浮いているために、弦の振動がフレットから指板に伝わらずに減衰してしまうためである。
以上が詰まった音の原因である。
では何故、フレットが浮いてしまうのであろうか。
これも色々調べてみると、指板の両脇が指板の中心部に比べて摩耗する傾向があり、フレットが浮いたというよりも指板が痩せたために、フレットと指板の表面との間に隙間が空いた、という原因を説明されているリペアマン(エッレキギターやアコースティックギター専門)の方がいた。
しかし今回症状の出たギターは使用頻度が少なく、指板もフレットも殆ど摩耗していないものであった。
では何故、フレットが浮いたのか。
答えは新品に近い楽器でもフレットが浮くことは十分にあり得るということだ。
何故ならば、1990年代半ばに兄が上京して、私の付き添いのもとに現代ギター社を訪れ、河野賢氏の楽器(確かマエストロの次のグレードだったと思う)を購入し、北海道に持ちかえってからそんなに月日が経過していないのにもかかわらず、フレットが浮いてしまうという症状が出たからだ。
恐らく、急激な環境の変化、湿度や温度の変化によるものではないかと思われる。
指板が湿度や温度の変化で収縮したことで、フレットとの密着が解かれ、徐々に浮いてきたのではないかと思うのである。
ちなみにこの兄の楽器は補償による修理でフレットを打ち直してもらったとのことだ。
高級ギターだからといってフレットが浮かないという保証は無いといういい事例だ。
もし、音の伸びが悪く、減衰の速いような楽器の場合、フレット浮きが原因の場合があるので上記の方法で調べてみてはどうだろう。
私の楽器も近々修理に出す予定だ。
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