直木賞作家の高橋義夫先生が、フィリップ・ロスを高く評価されてゐた。
ひと時、それを中心に創作会を立ち上げたが、事情があってすぐに頓挫した。
ロスの作品は幾つか読んでゐるが、改めて読み直すことにした。
『父の遺産』(柴田元幸訳/集英社文庫)
難解で饒舌なロスの作品とは思へない、感動作! です。
ロス独特の小説技巧があるので、私小説らしく描いてありますが、果たしてそのたうりか否かはわからない。
でも、すっきりと、腫瘍になった高齢の父と、その息子との死までの一年余の時間を、軽妙に、細密に、感動的に綴ってゐる。
日本語訳もとても読みやすく、この訳者のおかげもたぶんにあります。
一気に読んでしまったのは、小生の父親との別れとがダブってゐたからかも知れません。