年が改まって、ゆっくりと聴いた曲は、スウィトナーのシューベルト、でした。
最後の交響曲9番(最近は8番になってゐますが…)。
ベルリン・シュターツカペレとの1984年の録音。
この曲の演奏では、小生の好きなケンペ/ミュンフェン・フィルのディスクが最愛のものですが、スウィトナーの演奏もケレンみがなく、すっきりと進んでゐて好ましいです。
最初の出だしを、タマゲルほど遅くした演奏もありましたが、31歳で死するシューベルトには似つかはしくない(といふより、無礼かもしれない)。
録音当時、東独随一のオーケストラの弦の音色が素晴しく、シューベルトの演奏としては規模が大きい気がしますが、ベートーヴェンを敬愛したシューベルトの、「やっとここまで来たよ」といふ気概と無念さがよどむ事のないテンポに反映されてゐます。
スウィトナーは、東独の消滅と共に、健康上の理由も含めて、すっかりと現役を引退してしまひましたが、今にしておもへば、或いは、このシューベルトやモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー等々の一連の録音を進めてゐたこの時期が、最後の幸せな時間だったのかも知れません。
いち時期をなした、カラヤンやベームのやうなネームバリューはありませんが、残された”音楽”を聴くと、色あせることのない指揮者だったことを再確認させられます。
(写真は、LPのジャケットから借用)
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