やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

マーラーの別れ

2011-10-29 | 音楽を
突然、マーラーの9番が聞きたくなって、動画よりDVDにしたアバドの演奏をみる。

9番を正面から聞きたくなるのは、一年に一度か二度程度ー。

特に、ブルノ・ヴァルターが、”青空に消え入るやうにー”心がけたといふ終楽章は、巷間云はれてゐるやうに、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、等々と続いた調性の最後のしずくのやうな楽章で、もはやこの先は、マーラーの弟子達が先駆してゐた無調の世界しかない。

この終楽章は、まさしく、200年以上続いてきた交響曲の最後を看取る音楽です。
そして、マーラーはそこに、絶望的なまでの美しさを残してゐます。

画面をみるとなるほどよくわかりますが、前曲まで、肥大に肥大してきたオーケストラの構成はきはめてシンプルになり、管の出番もすくなく、弦のゆったりとしたすすり泣きが続きます。

マーラーが、9番の終楽章に、色々な、そして満腔の思ひを詰めてゐたのがわかります。

アバドの演奏は、彼の病後の容貌も痛々しいが、マーラーの思ひを伝道するやうに、丁寧に、美しい弦の響きとともにその終末を迎へてゐます。
画面では、いつ演奏が終はったのかわからないほど、会場は水を打ったやうに静まり返って終はってゐます。

Mahler symphony No.9-4M (5/6) Abbado Lucerne Festival Orchestra


Mahler symphony No.9-4M (6/6) Abbado Lucerne Festival Orchestra