やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

やはり、黙阿弥は…

2011-06-02 | 本や言葉
もしかして…、と思ひ、探してましたら、動画サイトにアップされたものがありました。

溜まってゐたヴィデオ・テイプをDVDに焼く作業で、歌舞伎関連が手付かずのままでした。
ーが、黙阿弥作品を中心に一気に整理ー。

『三人吉三廓初買』(さんにんきちさ くるわの はつがひ)ー三人吉三ー
『天花粉上野初花』(くもにまごふ うえののはつはな)ー河内山ー
『梅雨小袖昔八丈』(つゆこそでむかしはちぢょう)ー髪結新三ー
『曾我綉侠御所染』 (そがもやうたてしのごしょぞめ)ー御所五郎蔵ー

そして、動画より
『青砥稿花紅彩画』(あおとぞうし はなの にしきえ)ー白浪五人男ー

が加はり、結果、どれも代表作ばかりですが、やはり、黙阿弥は文句なく面白い。

『天花粉上野初花』での、直次郎と三千歳のエピソード部が手元にないのが悲しい(本当に、悲しいー)のですが、そのうち集まるでせう。
また、「十六夜清心」が紛失してしまってゐましたが、演じたのが昨年騒ぎを起こした役者だったので、まあ、惜しくもないかー。


そして、改めて黙阿弥関連の本を再読ー。





ともに、黙阿弥を論じた名著です。

天保の改革、ペリーの来航、桜田門外の変、明治維新クーデター、といふ幕末の時代の中で(ヨーロッパでは、すでにワグナーが鳴ってゐた)、”無学な座付き作者ですから…”と身を低くして風を避け、一度身に着けた洋服は窮屈だと江戸時代のまま紬の着物で通した、したたかな反骨の作家。

俄か仕立ての薩長の役人どもの、歌舞伎なぞ廃止だ!の声を心を黙として受け流し、江戸の場末で宿命や因果にあがらひながら必死で生きる、そして死ぬ庶民や子悪党を見事に描き続けた職人作家。


黙阿弥の狂言を最初に見たのは、歌舞伎座での『三人吉三廓初買』、でした。
眼からうろこが百枚ほど落ちました。

それ以来、30本ほどの彼の作品は読みましたが、如何せん、彼の作品は300本を越える数。
あとは、大正時代に出版された古い全集を図書館の地下から読むしかありませんが、少しずつ読んでゆかうとおもってゐます。



『青砥稿花紅彩画』(あおとぞうし はなの にしきえ)ー白浪五人男ー、がこちらです。
全篇を堪能できます。
お時間がある方は、どふぞ。