牡丹や芍薬も終り、樹の陰で、雪ノ下が日差しを避けるやうに咲いてゐます。
村冶佳織のバッハを聴きました。
彼女のディスクは、初期のころの一枚があるだけです。
ギターによるチェンバロ協奏曲等の演奏はままありますが、
ギター一本だけによるパルティータ2番の演奏が、そしてシャコンヌがどんな形になるのか、楽しみでした。
堂々とした演奏なのですが、やはり、ギターでは無理があるのかしらん。
この、”人間のあらゆる感情を表現した(濱田滋朗/ライナーノーツから)”といはれる、稀有の名作ですが、村冶の演奏では、そのなかの穏やかさだけが伝はってきて、憎しみや怒りや、羨望や憧憬や、諦めや祈りや、そんな、刻々と変はるリズムに背中合はせのやうに引きずりついてくる感情の乱れが、やはり、ない。
それでも、雲間の初夏に聴くには打ってつけかもしれません。
聴き終はって、シェリングによるヴァイオリンでの演奏を改めて聴いてしまひましたがー。
HPがありました。こちら、です。
(画像は、CDから)