NHKのニュース番組で元東大総長と称する先生が「ねじれ国会」のために政治が停滞し「決める政治」ができない。これは参議院の存在自体にも問題があるかもしれないといったコメントを発しておられた。表面的には確かにねじれ国会のために与党が多数を占める衆院で通過した法案が参院で頓挫して結局時間切れで成立せずという結果が起こっている。しかしそれを日本にとって悪い事としてしかも政治機構に欠陥があるかの如くテレビマスコミでコメントするというのは明らかに間違いであると思う。
何故間違いであるかというと、衆参で多数派の政党が異なり、ねじれが生じたのは正当な国民の選挙の結果であり、その責任は衆院で多数を取りながら国民の付託に答えず次の参院選挙で「ノー」を突きつけられた政府の側にある、という議論がすっぽりと抜けているからです。つまり「ねじれ現象」は民主主義が適切に機能している証拠であり、これがなければ国民の付託に反する法案を多数を占める与党が次々と決めてしまう可能性があることを防止していると言えるのです。
「ねじれ」を起こさないためには、衆院で多数を占めた与党が次の参院選挙でも多数を占めることができるように全力で国民の付託に答える事が要求されます。民主党政権でいえば、増税はせず、公務員改革を実行し、各種の国民の生活に直結する手当は充実させていればよかったのです。そのためには官僚も特別会計の整理やその下にぶら下がる特殊法人を整理して将来おいしい目を見ることを諦めないといけなかったでしょう。しかしそれが政権交代の意味であって国民の選択なのだから、税金で養われている官僚としては受け入れる以外の選択しはないはずです。
東大の総長ほどの人材ならば、テレビに映る短い時間でそのくらいのコメントを堂々と述べる力量はあると思うのですが、その手前の表面的な事象をのべてまるで国会がねじれているのが悪いという結論に持ってゆくとは情けない限りです。(まさかねじれ国会が民意の結果であることも理解できてない程度の人を出した訳ではないですよねNHKさん)
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