rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

メディア解体論

2023-05-29 12:44:12 | 社会

2023年5月21日に独立系ジャーナリスト高橋清隆氏(ご本人は反ジャーナリストと名乗っている)の「誰も伝えないメディアの虚構」と題する講演を聞きました。「ジャーナリズムの本質は、その起源からして富者の意図を一般人(貧者)に伝達することに始まるのだから、一度全てを解体して本質から作り変えねばならない。」とする一見ラディカルな内容でしたが、ご本人の意図として「決して悲観論ではない」と繰り返しておられました。拙ブログでも最近メディア論を取り上げてきましたので、備忘録的にまとめておきたいと思います。

高橋清隆氏

 

I.  公正中立なメディアはあり得るか

 

大手メディアの偏向報道が問題にされ、ネットなどでは「マスゴミ」などと揶揄されるようになって久しいが、メディアは公正中立で市民にとって正義を伝えるのが本来の姿だったと言えるだろうか。演者(高橋氏)の考えるメディアの存在目的とは

(1)権力者に都合の良いプロパガンダの流布: 言葉通り

(2)大衆の知識を一定レベル以下に抑える: 伝える情報の取捨、結論を与えて考えさせない。

(3)亜現実への誘導: テレビや映画などの映像を現実として認識させる。

 

の3点に集約される。そもそもメディアと呼ばれる機構が世の中に登場したのはロスチャイルド家が出資したフランス「アッバス通信社」が嚆矢であり、政府の通信を盗んで投資家に情報を売り、株で儲けるインサイダー情報取得の目的であった。それらの一部を無料で一般大衆にも与えたが、多くは攪乱(ガセネタ)の目的で胴元である資本家が最終的には儲かる様に作られた。アッバス通信社はアジア方面には「ロイター通信社」欧州には「AFP通信社」として発展して行き、日本は下部組織として「共同通信社」が作られた。

 

情報による支配は古代バビロニアが起源と言われ、(1)財の管理(2)法による合法的暴力支配(3)情報統制による知識の統制が行われた。日本におけるメディアの始祖は横浜で外国公使館に通訳として雇われながら「新聞」を発行したジョセフ彦三と思われ、間接的に西洋資本による明治維新という名の日本社会、資産の収奪を助ける結果になったと考える。

 

II.  日本の戦後メディアと記者クラブ

 

戦後「メディア」は米国による日本支配の手段として大いに使われた。1985年の時点で、日本を支配するために(大使館付きなどで)配置された米国CIAのofficerは100人いたと言われ、そのそれぞれに5-6名のエージェントが配置されていたと言う。それらエージェント(工作員)は日本の新聞社、テレビ、メディア、教育界(大学)などに配置され、米国の意図通りの情報統制を行うために豊富な資金を与えられて活動していた。1970年頃までは、政治批判などメディアには現在よりも自由があった様に錯覚するが、統制されていた事実は現在も昔も同じである。

 

日本には手軽にまとめてメディアの情報統制を行う装置として「記者クラブ」制度が設けられ、現在も健在だが、大手メディア自体が記者クラブ制度を「特権として固持」しようとさえしている。

 

III.  デビッド・アイクの思想

 

デビッド・アイクは日本では太田龍に代表されるイルミナティなどの世界支配、爬虫類人類支配説を唱える思想家で、全てをそのまま信用するのは抵抗があるが、世界を一極支配する非情な勢力の存在を仮定する上で説得力があると演者は考えています。

デビッド・アイク氏  太田龍氏

 

グローバリズム(世界一極支配)と多極主義が現在対極に分かれてウクライナ戦争や米中対立の形で争っている様に見えますが、真の支配層からの視点ではどちらの側もそれぞれのpolitical actor(政治家役)が演じている、一見対立している亜現実の世界の現象であろう、と解釈します。トランプのSNSからの排除を回復させたイーロン・マスク氏も、メディアの改革者として持ち上げられていますが、彼はAIとヒトを5Gでつなぐ「ニューラリンク」の提唱者であり、FDAからも2020年にヒト脳内へのチップ埋め込み実験の許可を得ており、映画「マトリックス」で描かれた世界を実現するために称揚されている人物に過ぎない。

映画 マトリックスから

 

ハリウッド映画は娯楽という亜現実を使って将来の世界の姿を予想させる(受け入れの準備をさせる)手段として用いられる事が多い。マトリックスやコロナ感染症を予想させる映画も多く作られていた。事件などのニュースも「取り上げる必要があるから」ニュースとして流しているのであり、類似事件でも取り上げられなかった事件との差異(質や時期=他のより大きな問題を隠す目的)などを考える必要がある。

 

IV.  メディア解体論

 

高橋氏はメディアによる支配体制から脱するためには、ラディカルな意見になりますが、一度全てのメディアを廃棄する必要がある、新聞、テレビラジオ、ネットを含む全てを一度捨て去って生活をし、「直接伝達による情報の交換」のみに戻すことが新たに正しいメディアを作る上で必要と説きます。現実問題としては困難ではありますが、メディアには暗黒の未来しかないという程の悲観論者ではないと話しておられました。

 

2023年5月15日NHKニュースウオッチ9が、新型コロナワクチン被害者遺族の語りを「コロナ死」遺族にすり替えて放送した事件が問題になり、翌日の新聞各社で取り上げられ、5月16日の番組内でキャスター自ら謝罪をする異例の事態になりました。ワクチン被害を公に認めない政府への忖度に基づく偏向報道、という評価で間違いはないと思われますが、ディレクターは、何故敢えてワクチン被害者に取材をしたか。15日の番組終了後にわざわざ取材した相手に電話で感想を聞いていた事実などをあげて、「体制に不都合な現実を糊塗するピラミッド構造のNHK幹部への現場ディレクターのささやかな反乱ではないか」という見方をされています。

 

講演の最後に米国の著名なジャーナリストだったジョン・スウイントンが1880年のある宴会の席で報道の自由について語ったと言われる挨拶を紹介されました。

(引用開始)

世界の歴史の現時点において、アメリカには独立した報道機関などというものは存在しない。あなたもそれを知っていますし、私もそれを知っています。

自分の正直な意見をあえて書こうとする人は誰もいませんし、もし書いたとしても、それが決して印刷物に載らないことはあらかじめわかっています。私は、自分と関係のある新聞に私の正直な意見を掲載しないことで、毎週給料をもらっています。他の人も同じような仕事で同じような給料をもらっているし、正直な意見を書くほど愚かな人は、別の仕事を探して街に出ているだろう。もし私の正直な意見を私の論文の一号に掲載することを許したら、24時間も経たないうちに私の職業はなくなるだろう。

ジャーナリストの仕事は、真実を破壊し、あからさまに嘘をつき、倒錯し、中傷し、拝金主義者の足元に媚び、日々の糧のために国と人種を売ることである。あなたも私もそれを知っていますが、独立した報道機関を乾杯するのは何という愚かなことなのでしょうか?

私たちは裏で金持ちの道具であり家臣なのです。私たちは操り人形で、彼らが糸を引いて、私たちは踊ります。私たちの才能、私たちの可能性、私たちの人生はすべて他の人の財産です。私たちは知的な売春婦です。

(出典: Labor's Untold Story、Richard O. Boyer と Herbert M. Morais 著、United Electrical, Radio & Machine Workers of America, NY、1955/1979 発行。)

 

心あるジャーナリストは昔も今も沢山いるという事を言いたかったのだと思います。


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6 コメント

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Unknown (釈蓮如)
2023-05-30 13:32:15
私がマスコミに何かを期待すること自体間違っていたのですね(笑)
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リテラシーが大事 (rakitarou)
2023-05-31 06:53:53
メディアがないと不自由であることは確かなのでリテラシーを持って伝えようとしている意図、虚実を判断する力を受け取る方が持つ事が大事なのだろうと思います。まるっきりありのまま信ずるは絶対ダメでしょう。
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どこを切っても同じ金太郎飴のような日本のマスコミ (宗純)
2023-05-31 16:27:09
関東大震災時に起きた政府警察主導の自警団による朝鮮人大虐殺について、「当時の新聞記事では朝鮮人が暴動を起こした、と遠い九州や四国の新聞にも書いてある。だから日本政府や治安機関が正しい」との頭が空っぽで目が節穴のネットウヨのコメント投稿があり、当時は爆笑したのですが、
しかし、今の日本のマスコミの現状と瓜二つなのですから、到底笑えない。
政府や警察、マスコミ有識者の全員が同じことを主張しているので、メディアリテラシーが低い一般大衆は「朝鮮人が暴動を起こし、井戸に毒を入れた」との官製「流言飛語」を真に受けて、善良な普通の一般市民らの自警団が虐殺に手を染める。
全てのマスコミ有識者の主張が同じなら、何かの世論誘導(プロパガンダ)があるとの社会科学の基礎知識が欠如しているのですから情けない。
まあ日本人は満場一致を最良とするが、ユダヤ法では反対する者ゼロは違法(採決から反対派を全部排除して結果)だと日本的満場一致至上主義とは正反対に考える。

鳩山由紀夫、鈴木宗男や佐藤優など極少数を除く、「先に手を出したロシアが悪い」との日本共産党など左翼は去年2月24日から突然歴史が始まったとでも考えているのだろうか。それとも生後1年3カ月の乳児程度の経験や判断力しかない愚か者。あるいは横並びで他人と同じ意見だと安心する知的レベルが低い典型的なB層
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Unknown (河太郎)
2023-06-05 01:30:52
全メディアのリセット)
言わんとする事は解るし賛成ではあるのですが、不可能とも思います。
それやろうとすると、ウェブ利用や仮想通貨から電子決済まで、今のテクノロジーを全部ぶち壊すくらいでないと無理と思われる。
例えれば原発みたいなものですか。温暖化うんぬんは別として、世界中には使用済み燃料棒が、冷却するプールが原子炉の数ほどあり、冷却する電力がストップした瞬間に、放射能を撒き散らす時限爆弾になる。
原発を全て止めたら、万一に他電力がストップする何かがあった時に、放射能を撒き散らします。やめたくてもやめられない。
メディアの問題もそれと似ていて、ウエブでの考察は、メディアが提供する情報を吟味できるオピニオンリーダー的な人(先生みたいな人ね)が検証する事で成り立ってる。てことは、嘘が多くても元ネタを提供したるのは大手メディアで、二次情報なんですね。
それらを直接伝達で一次情報へ全て切り替えるというのは、論としては正しいのですが、現実には今の文明がクラッシュするほどのインパクトがないと無理だと思います。無理である以上、その志が正しくても、それは語るに落ちると想うんですね。
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ラディカリティ (rakitarou)
2023-06-05 06:52:07
無政府主義や暴力革命論は、現状をまず壊す事をしないと何も始まらない的な発想から来ていて、本当にそれをすると現状よりも大きな不幸が全体に及ぶ事は確かです。

その様な現状を理解した上で、できる所から改善してゆくのが現実的なのでしょうが、実際はわずかずつしか変わらない。しかし「現状がおかしいと気付かない」よりは余程良いという事だと思います。

大手やSNSで言論統制が行われている事実、メディアの存在は上意下達の方便であることなどをまず認識しないと現状の理解すらできないという事でしょう。
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新聞記者はえらい、という話 (宗純)
2023-06-05 08:31:07
少し古いが2006年June 01のH-Yamaguchi.netには愉快な記事が掲載しています。一部抜粋すると、

私は、とんでもない思い違いをしていたのだった。

私は、新聞記者というのは取材によって事実を集めて、それをもとに記事を書くのだとばかり思っていた。それが大きなまちがいだったわけだ。

新聞社の役員氏のいうところを斟酌すれば、新聞記者が書くのは事実ではなく、解釈された事実でもなく、その記者自身の主張なのだ。書かれるべき内容の主要部分は取材対象にではなく、記者自身の脳内にある。記者が取材に行くのは、事実を積み重ねるためではなく、自己の主張に沿った情報をネタとして仕入れるためだったのだ。

これで、新聞記者がなぜえらいかがわかってくる。新聞記者の仕事というのは、事実を伝えるルポライターの仕事とも、事実を解釈する学者の仕事ともちがう。より近いのは、小説家だ。新聞記者がある事件について記事を書くということは、いってみれば、司馬遼太郎が桶狭間の戦いについて生き生きと描写するのと同種の仕事、ということだ。

つまり、「先生」なのだ、彼らは。アーティストなのだ、その意味で。だからえらいのだ。

以前のハンギョレ新聞下段には必ず、転載やら引用を厳禁するとの文言を仰々しく書いていたのですが、司馬遼太郎作品などと同じオリジナルな著作物(フィクション)としての著作権を主張していたのですね。しかし「個人の脳内妄想やフィクションではなくて客観的真実である」との建前の報道機関としては自殺行為ですよ。
客観的な科学的事実は信じる者も信じないものも誰が書いても同一になる。科学的な「正しさ」は普遍性が大原則だが、個人の著作物の場合は逆のオリジナリティ(誰にも無い個性)が一番大事になる。180度逆さまなのです。

転載禁止(真似をするな)というなら、「これは真実ではない。個人の創作物だ」と新聞社自身が暗に主張しているのですから大笑いであるが、
現在のマスコミや有識者、政治家のほぼ全員が横並びで同じ主張をしている(オリジナリティがゼロ以下)なのは何とも不気味。
低級なお粗末プロパガンダを全員が信じているとも思えないが、挙国一致の大本営発表には???ほぼ78年前の「玉音放送」直前の社会情勢に酷似しています
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