連休中でもあるので、少し柔らかい話題で。
私は神奈川県の茅ヶ崎で小学校から高校卒業まで過ごしたので、年少時代の思い出や故郷というと茅ヶ崎になります。いわゆる湘南ボーイですが、土着の少年達は必ずしも泳ぎが得意でないし、サーフィンもやらない。でも道路を超えた所に海岸がある学校でずっと過ごしたので、用がなくても良く砂浜に行って烏帽子岩や堤防を見たものでした。
海岸から見た烏帽子岩 昔あったパシフィックホテル
そんな茅ヶ崎の星と言えば、昔は加山雄三(砂浜から彼がオーナーだったパシフィックホテルが見えた)、その後はサザンの桑田圭祐が現在も輝いていると思います。そしてこれからの星と思われるのが車のCM曲としても取り上げられて注目されているサチモス(Suchmos)でしょう。vocalのYONCEが茅ヶ崎生まれということでPVなどにも見た事があるような場所が使われていたり、歌の内容が、曲調が都会的でありながら詩のコンセプトが一寸引いた湘南あたりから都会を眺めた内容であったりします。
曲調はとてもGroovyでSuchmosの語源であるルイ・アームストロングのジャズの要素も取り入れながら、黒人音楽やラップ、ヒップホップなどの要素が自由に入った感じでリズム感、「耳触りの良い音」という印象があります。それでいて詩の内容が「何謳ってるの?」という一度聴いただけでは分からない所がまた魅力なのかも知れません。
Honda 車のCMにも使われた”Stay tune”はサビの部分と本体の詩の内容がつながっていない(本人的にはつながっているのかも知れませんが)、本体では表面的でない素の状態で中身のある娘はいないかな〜、と言いつつサビでは都会の渋谷あたりで意味もなく酔っぱらっている集団を「ゾンビ」と揶揄している内容(他のブログから仕入れた知識ですが)で、歌詞と説明を見て初めて理解できる(理解して聴いてみるとそれもまた面白い)です。
MINTも良い曲と思うのですが、1回聴いても何言ってるか分からない。その何言ってるか分からない理由は、vocal YONCEの謳う日本語のイントネーションにあると思うのです。名前から韓国系(違ってたらごめんなさい)かと思うのですが、日本人だとなかなか使えないようなイントネーションの区切りをしている所がすごく新鮮に感ずるのです。
例えば3節目の
周波数を合わせて 調子はどうだい?
兄弟、徘徊しないかい?
空白の何分かだって
その苦悩や苦労をBlowして踊りたい
という部分、謳う時には
しゅう、はー、すうをあわせ、て、 調子はどうだいきょうだいはいかい しないかい
くー、はー、くの何分かだって、その苦悩や苦労をBlowして おどりたい
と韻を踏んでいるから耳触りはとても良いけど意味が分かりにくくなる。
これはかつて宇多田ヒカルが15歳で衝撃的なデビューをした時の”Automatic”を聴いた時の感じに似ていると思います。彼女も米国育ちで日本語は第二言語だったから区切りやイントネーションに拘る事なく自由にリズムに載せられた。
まず謳い出しの
七回目のベルで
受話器を取った君
謳う時は
な、なかいめのべ、るで受話きいと取ったきみ、
と日本人では絶対やらない息継ぎを違和感なくやってのける。
2節目の
でも言葉を失った瞬間が
一番幸せ
なんか謳うときは
でも言葉を失ったしゅんか んがいちばんしあわせ
と瞬間の「しゅんか」 と 「ん」を分けてしまうなんてとてもできない。カラオケも普通の日本人は難しくてうまく謳えないのではないでしょうか。言ってみれば「軍歌(同期の桜とか)」の対極をゆく謳い方でgroove感を満喫させている。Sachmosはそれにスラング的な英語も混ぜた歌詞なので書き出してみるとそれほど複雑でないのに難解に感じてしまう所がミソでしょうか。
Vocal、YONCEの普通の髪にアディダスのジャージというのも土着の茅ヶ崎の雰囲気が出ていて茅ヶ崎民としては好感です。これからもっとメジャーになってゆくでしょうが、茅ヶ崎的な素朴さと新鮮さを失わずに大きくなって欲しいと思います。
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