最近どうも鬱々とした日々が続いている様に感じています。それは私生活がぱっとしないからかも知れず、患者さんが進行癌ばかり増えているからかも知れず、欧州の人達の生活が危機的であるのにその原因を解決しようとしないからというのもあるでしょう。また未だに日本だけがコロナ騒ぎを続けている歯がゆさもあります。そして何よりこの9月に入ってから「ウクライナでロシアが負け」て「核使用」を含む全面戦争の危機が高くなった事が最も大きいだろうと思います。
I. 東部ハリコフでロシア軍敗退、イジュームから撤退
ウクライナ軍の進撃により、ロシア軍は緑の広範な地域から撤退
8月末のヘルソン地区のウクライナ軍の動きと対応したロシア軍による包囲
22年8月末のウクライナ軍によるお粗末な「ヘルソン地区反撃」では、撤退したロシア軍の後、雪崩を打って侵入したウクライナ軍を強力火器で用意周到準備したロシア軍がモップで拭き取る如くに駆逐する様が見られました(上図)。しかし東部ハリコフでは、同様8月末からNATO軍の支援を受けたウクライナ軍が集結していた事が情報として公になっていたのに、ロシア軍はドンバスの治安防衛部隊のみを配置したままウクライナ軍の反撃を許しました。本来ロシアの今回の特別軍事行動(SMO)は(1)ドンバスの地域確保(2)ウクライナの非武装化(3)ウクライナの非ナチ化、が目的なのですから、一時的戦略的撤退は作戦としてありとしても、ドンバスの地域住民を十分保護することなく土地をウクライナ側に明け渡す事はSMOの目的に反しています。既にウクライナ占領軍によるナチスドイツさながらの「ロシア協力者狩り」が始まり、イジュームは無法地帯と化している状況が報告されています。
進撃したウクライナ軍によって「親ロシア派刈り」が無法地帯として行われている事が報ぜられる。
今回の撤退がロシアの明らかな失策である証拠は、その後の行動にも表れています。この半年間、ロシアはウクライナの民生に関わるインフラへの攻撃は控えていましたが、とうとうウクライナの半分以上をコントロールする主要電力施設をミサイル攻撃して停電に追い込みました。また今までは黙認していたウクライナへの天然ガス供給を止める方向で検討に入りました。大胆にもゼレンスキー大統領はロシアから「ソユーズ・ガス・パイプライン」を通って入ってくる天然ガスをポーランド経由で欧州にも供給できるなどと嘯いていましたが、もう無理でしょう。つまりプーチンはSMOの対象を本来は敵ではないウクライナ国民を外し、ゼレンスキーNATO傀儡政権とその軍隊のみとしていたものを、「ウクライナ国民を含むウクライナ国家」を対象にすると変更したに等しいのです。一部の専門家がロシアからの「全面戦争」「宣戦布告」が行われる可能性を指摘しているのはその点からです。
ロシア軍ミサイルによるダム攻撃を報ずるBBC 開戦初期におけるウクライナ軍によるキエフ北部の人為的洪水を報ずるNYtimes
9月14日、ロシアはウクライナ南部の都市クリーヴィ・リフ近郊のダムをミサイル攻撃して破壊、周辺の市町村に水害を起こしました。これはウクライナ軍の南部の反撃がダム下流のイングレット川を渡河して行われたため、川を増水させて部隊を孤立させる意味があるのですが、今までは一般住民に被害が及ぶこの手の軍事行動をロシアは控えてきました。一方でNYtimesによると、ウクライナ政府は開戦初期のロシア軍によるキエフ包囲を回避するためにキエフ北部の広範な地域に洪水を起こして進撃を阻む作戦を躊躇なく取っています。
今回の東部戦線における撤退では、ロシア軍は殆ど戦闘を行っておらず、スヴァトゴルスクからベロゴロフカへの撤退線より後方で態勢を整えている状態です。実際侵攻したウクライナ軍がこの線を超えて攻撃しても現状では打ち破る事ができない状態です。また南部ヘルソン地区においても新たなウクライナ軍による攻撃はうまく行ってない様です。
II. 限定核戦争の危機
限定核戦争から本格的な核戦争へのリスクが高まる
今回のウクライナ軍の東部戦線の反撃をプーチンは敢えて見逃した様にも見えます。9月初旬にプーチンは極東の軍事演習に参加し、経済会議に参加し、習近平と会談までしました。ロシアは長期戦を覚悟し、SMOから「宣戦布告を伴うウクライナ国との戦争」に正式に格上げを考えていると思われます。そしてそれこそが米国・NATO側が望むところでもあります。ウクライナが負けそうになると、「簡単に休戦協定を結ぶな」とイギリスのジョンソン首相が来たり、今回は米国のブリンケン国務長官が来ていました。ゼレンスキー大統領はクリミア半島の奪還などという事まで言い出しており、クリミアのクレムリン代表であるゲオルギー・ムラドフは、「数か月以内にタウリア(クリミア、北黒海、アゾフ海)の統一、ノヴォロシア(ドンバスからオデッサ、沿ドニエストルを結ぶ地域)の確立が必要。」と述べ新たな戦争の目標を示しました。現実問題として、ウクライナ側が欧州随一の原子力発電所であるザポリージャ原発を「原発事故が起きても構わない」とばかりに平気で砲撃を繰り返している状況を考えると、「明確に国ごと潰しにかかる」必要性をプーチンが考え出してもおかしくありません。西側を除く諸外国にその了解を得るための下準備を9月初旬の東部撤退の間にプーチンが行っていたと観るのが正しい様に思います。
まだ明確に命令を下してはいないようですが、NATOがこれ以上介入し、ロシア領内にも攻撃を加えることがあれば「戦術核」の使用は避けられない可能性もあります。元もとEUのフォン・デア・ライエンも英国新首相トラスもヨーロッパがどうなろうと核戦争OKの人達ですからロシアが戦術核を用いれば躊躇なくNATO側も使うでしょう。その先は戦略核への発展も時間の問題であり、シュワブの目論むグレート・リセット完了が達成されることになります。
III. 結局国家の存在に頼らざるを得ないグローバリズムだが
グローバリズムは、結局「カネ」で各国有力者を買い、国家の方針を「グローバリズムに都合が良い方策に変える事で野望を達成」するしかないのが実情です。民衆の要望に応えようとする政治家は「ポピュリスト」と批判し、金で買った政治家達に耳障りの良い「リベラル主義」を歌わせてそれに反する主張を「極右」と批判して黙らせるしか方法がないのです。しかし金でメディアやSNSを支配しているため、自分で物事を考えず、メディアが宣う事をそのまま信用してしまう多くの人達が目覚める事無く、ゆでカエルのまま核で滅びるまで逝ってしまうのではないかと、私は鬱々としています。ヨーロッパの解放、戦争終結、自由な言論、「核戦争の脅威の終結」が訪れる日が待ち遠しく思います。