rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

グローバリズムの終焉が近づく世界情勢か

2017-12-15 18:26:38 | 社会

トランプのアジア歴訪と北朝鮮情勢

 

トランプ大統領の就任後初のアジア歴訪が終わりましたが、その成果や意味については様々な見方があり、評価は一定のものではありません。話題の中心は北朝鮮情勢であり、そこにいかに中国を取り込んでゆくかが焦点であったことは間違いないと思います。特に地盤を固めた習近平率いる中国がどのような対応を取るかが注目され、北朝鮮でさえミサイルや核実験による挑発を一時止めて事態を見守っていました。「政治家よりも商売人であるトランプ」という評価は私も正しいと思いますが、商売人であるからこそ、損をせずに米国の得になる結論を目指すことになると思われ、最終的には将軍様を放逐して北の管理は中国に任せ、韓国は現状維持としたいという事になると思います。後はロシアがその結論をどこまで飲むかですが、ロシアに対してはシリアとイランについてロシアの意向を尊重する形で譲歩してアジアは中国を立てることを目指していたはずです。そこに真っ向から反対するのが旧来のグローバル陣営でロシアとの戦争を未だに画策し、トランプのロシア疑惑を騒ぎ立て議会にロシア制裁決議を議決させたりしています。この決議は、ロシアからの燃料を必要とするEU各国から早速クレームが出ており、グローバリストの思惑通りには行かないだろうと思います。

 

 

2017年11月29日未明に北朝鮮はICBMをロフテッド軌道で打ち上げるという挑発をしてみせました。今回は打ち上げる前から日本や韓国から騒がれていたこともあり、アメリカが空母5隻を日本海に集結させている情勢からも遠くへ飛ばさず近場に打ち上げて大気圏への再突入実験をすることにしたのでしょうが、米朝ともにかなり厳しい情勢であることを認識しているでしょう。しかも大気圏への再突入で弾頭部は分解したと言われていて、それについて北朝鮮はコメントしていません。

 

北朝鮮は韓国のムン大統領から、何とか平昌五輪に形だけでも参加して欲しいという執拗な誘いを受けていた折りであり、結局ミサイルを飛ばしたことで正式に「No!」を突きつけた格好になったと思われます。この平昌五輪、既にロシアは別件から個人参加が決定しており、米国は未定(アイスホッケーは不参加を表明)、フランス、オーストリアは安全が確保されなければ不参加を検討となっていて、北朝鮮国境から80km、交通の便も悪く、チケットもまだ半分が売れ残り状態と言われていて中国政府も未だ正式な参加表明がなされていないなど、もうどうなるか解らない状態と言えます。

 

シリアでは既にグローバリスト子飼いのISは壊滅状態です。サウジアラビアは新進気鋭の皇太子が旧来の王族達を腐敗追放の名目で逮捕削除しつつあり、レバノンの大統領もヒズボラとの関連を追及されて排除されました。この皇太子はカタールと断交して、米国から武器を大量購入することでトランプを味方につけようとしましたが、カタールがより多くの武器を米国から購入して、しかも米軍基地がカタールにあることから米国はカタール支持に変わりました。イエメンの内戦も絡んでサウジ・イランのスンニ・シーア派戦争に発展しそうな危険があるのですが、私は最終的にはロシアが間に入って何とか収めるのではないかと思います。イスラエルがどう動くかも鍵になりそうです。そのような中、トランプはエルサレムをイスラエルの首都にする事を認めると声明を出して世間を騒がせました。これは某ユダヤ富豪からの強い希望に答えたという説がありますが、「エルサレムにある領事館を即大使館にする」という命令でなく、「変更する準備を命じた」というのがミソで、本音ではやる気なしだろうと思います。数ヶ月前、パレスチナとの二つの国家をトランプが認めた経緯からも、ガツンとかましてから譲歩して半分で落とすというトランプ流の政治をやっているだけだろうと思います。

 

グローバル企業・グローバリスト達の苦戦

 

話は転じて、CRS・SWIFTコード・BEPSと書いただけで中身がわかる人はかなり税に詳しい人だと思います。私も「決裂する世界で始まる金融制裁戦争」渡邉哲也 著 徳間書店 2017年刊 を読むまでは知らなかったことなので威張れませんが、タックスヘイブンを介したグローバル企業やグローバル金持ちの租税回避を阻止する国際的な枠組みが今年になってから次々に具体化している事実があります。CRSというのは非居住者の口座情報を自動的に報告する国際基準のことで、2017年9月から施行されます。昨年からマイナンバーを用いなければ確定申告ができなくなっていますが、外国との金融取引や証券取引を行うにも銀行口座にマイナンバーの提示が必要になっているのはこのためです。国際間の銀行で取引決済をするには各銀行が持つSWIFTコードから口座まで特定できるよう国際決済銀行(コルレス銀行)経由で追跡できるシステムが国際ルールとして2017年には100カ国が加盟してできるようになったそうです。BEPSというのは「税源侵食と利益移転」のことで要するにタックスヘイブンを利用した租税逃れを指し、今年3月にドイツで行われたG20財務大臣・中央銀行総裁会議において、BEPS防止に向けて国際的に協力して取り組むことが声明として出されました。これでグローバル企業・グローバル金持ちの税逃れは非常にやりにくくなることが決まったのです。こういったことは国民の生活や税収をいかに確実に増やすかに関心がなく、グローバル企業寄りの日本のマスメディアはあまり話題にもしようとしないので一般国民はあまり知ることがありません。前回話題にした仮想通貨ビットコインへの資産変換が今年の秋から急速に進んでいる背景もこれに関連があるかもしれません。

 

テロ等準備罪法案とマイナンバーの意味

 

11月22日に米国は北朝鮮をテロ支援国に再指定しました。2008年に1988年からテロ支援国とされていた指定が解除されましたが、これで再び六カ国協議などへの敷居も高くなったと考えられます。テロ支援国の国民は自由に米国圏での経済活動や移動も制限されることになります。これは日本に住む北朝鮮籍の在留者にも適応されるので影響は大きいと言えます。日本国民はマイナンバーを持つ事で口座開設から納税に至るまであらゆる活動は日本国民として保証されますが、日本にいながら北朝鮮籍である人達はかなり困ったことになるでしょう。結果日本国籍や韓国籍への移籍も増えると思われます。暴力団関係者も通名など使用して資金の移動他自由にできた事もできなくなります。またテロ等準備法案で「テロの準備」とみなされる行為があればテロを行う前でも取り締まれるようになった事は2000年12月に日本が署名した国際犯罪に対する情報共有を促すパレルモ条約の履行にも必要な処置であり、これでパレルモ条約についての取り締まり機関FATFの認証を得て多くの国際的なテロ情報の共有も可能になると思われます。

 

国家を中心とした国際協力の世界へ(one world=globalismの否定へ)

 

最近の世界情勢は、それぞれの「国家の対応」が一段と重きをなしているように思われます。数年前までは、国家の壁をできるだけなくして、ヒト・物・金の流通をいかに自由にするかが問われていました。ヒト・物・金の流通が自由になりすぎた結果生じている様々な不都合や安全治安上の問題を、今各国の政府が再度協調しながら調整に乗り出しているのが現在の姿ではないでしょうか。以前書いたようにGlobalismから健全なInternationalismへの変革が今行われているように思います。

コメント (2)
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