HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

GOING TO COUNTRY

2016-08-01 20:10:05 | ROCK

パブ・ロックの範疇で云々されることが多いエッグス・オーバー・イージーが
英国ロックをとりあげるガイド本で紹介されることが少ない(無い?)のは、
メンバーがアメリカ人でアルバムもアメリカで録音されたからである。

チャス・チャンドラーに認められて彼らが英国に渡って活動したことで、パブ・ロックの
一つの側面を形成するバンドが幾つか出ることになるのだから、彼らの存在は大きかった
ということだろう。付け加えれば、ジミ・ヘンドリックスやスレイドをマネジメントした
ことに続くチャス・チャンドラーの功績も大きい。

掲載写真はエッグス・オーバー・イージーの2枚組CD「GOOD 'N' CHEAP : THE
EGGS OVER EASY STORY」。「GOOD'N'CHEAP」だと彼らのファースト・アルバムを
指すので、ここは長ったらしいタイトルを了解しなければいけない。(笑)

ディスクの1枚目には彼らが残した2枚のアルバムと1枚のシングルを収録。
目玉は2枚目でファースト・アルバムがリリースされる前年の71年にロンドンで
スタジオ録音された曲が12曲収録されている。

12曲中『111 AVENUE C』と『ACROSS FROM ME』の2曲は、06年にファースト・
アルバムが再発された時にボーナス・トラックとして登場しているが、残りは初登場
だろう。その時のライナーには『ACROSS FROM ME』は70年12月の録音と
書かれていたが、概ね71年1月のオリンピック・スタジオでの録音ということで
いいのだろう。特筆すべきはこの12曲が1曲たりともファースト・アルバム収録曲と
重ならないということで、これこそロック者が聴きたかった音源といっても過言では
ない大発掘だと思う。

地味ではあるが滋味である。リンク・レイが製作した公式1枚目も良いが、チャスが
製作したこの幻の1枚目と呼ぶべき録音に心洗われる。陽が暮れかけた11月の
とある一日、陽の温もりを溜めこんだ干し草の上で聴きたいような音である。

コメント (2)
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