昨年リリースされた「ROLLY'S ROCK CIRCUS」に続いて、70年代の日本の
ロックの名曲をカバーしたアルバム「ROLLY'S ROCK THEATER」が登場。
今回はUFOの「STRANGERS IN THE NIGHT」を意識したジャケットなのが
笑える。
かつてトータス松本がカバー集「TRAVELLER」を出した時もそうであったが、
レコード会社のディレクターから、こういった企画を持ちかけられるというのは
ミュージシャン冥利に尽きるのではないだろうか。MIX TAPEを作るとき以上に
選曲に燃えるROLLYの姿が目に浮かぶ。
前回は他者の曲に紛れて自身の曲をセルフ・カバーしていたが、今回はオリジナルを
1曲収録。初めて見たロック・コンサートの興奮を曲の中で表現しているが、
そこでの体験が如何に素敵だったのかが手に取るようにわかるのが我が事のように
嬉しい気持ちにさせる。そういえば私が初めてコンサートを見たのも「市民会館」
だった。(笑)曲間の台詞にバッドフィンガーの『NO ONE KNOWS』からの
引用があるのもROLLYらしくて良い。
今回の選曲は前作以上に私好み。何せ『燃えろいい女』に『てぃーんず・ぶるーす』
だから。(笑)PVも作り歌唱も世良公則の熱さを過剰に再現したアルバムの
オープナーである『燃えろいい女』のくどさこそROLLYそのもの。原田真二や
チューリップの良さを見落とさないのが素敵なのだが、今回は遂にというか待望の
ウォッカ・コリンズ・カバーまである。アラン・メリルの歌唱の節回しを明瞭な
日本語で歌うところが「ROLLYオリジナル」という感じで、ここにもROLLYっぽさが
表現されている。
乱魔堂の『可笑しな世界』もよくぞ取り上げてくれたという名曲。RCサクセション・
カバーは選曲が選曲だけに出来を危惧した(笑)が安心した。というのも、この
手垢のついた感のある曲は、様々なイベントで最後に出演者が総登場し楽しそうだが
クオリティーの低いぐだぐだな場面を多く見聞きしていただけに、バシっとキまると
当たり前だが格好いい。ZKの『いとこの結婚式』を選ぶのもらしくて、尚且つ
ROLLY言うところの「スレイド風味」のアレンジがいい出来のカバーである。
このところカバー・アルバムをよく見かけるが、選曲の全てを気に入るカバー集は
そうはない。大抵半分くらいは「え?」という、まあそれは私の守備範囲の狭さを
認めるにすぎないことなのだが気に入らない曲が選ばれているものだ。
今作のように全てを気に入るカバー集は、滅多にない。
で、ROLLY。次はTHE 卍で新譜を出すことを期待します。
って、これは去年の今頃も同じことを書いたなぁ。(笑)