HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

HAVANA MOON

2016-11-19 09:39:15 | ROCK

掲載写真はローリング・ストーンズが今年の3月25日にキューバの首都であるハバナで
行ったフリー・コンサートを収録した映像「HAVANA MOON」。今回も例によって
様々な組み合わせで発売されたが、私はブルーレイ&2CDの日本版を購入した。

物によってはドキュメンタリー映像を添付したブツもあったが、それが著しく高額で
あったので見たいのは山々だが「どうせ後でリリースされるだろう、できれば先行発売に
無かった特典映像満載でお願いしたいね。」なんて思いながら通常ルートで購入できる
これを手にしたというわけである。

映画としての公開が前提だったので本編ディスクに収録されている映像からは、数曲が
オミットされているが、オミットされた曲は全てボーナス映像で収録されてあるのが
嬉しいし、CDは全曲収録なのでコンサートの流れを把握するのに便利である。

最早、ストーンズが何をしようと音を出していれば、動いていればそれだけで何の注文も
文句も言う気は無いので、こういった映像や音が商品としてしっかりリリースされる数が
多ければ多いほど幸せである。そこにはロックが果たしてきた批評眼や反抗精神なんてものは
微塵も無いのだが、文化財とはそういうものである。私はストーンズには甘い。

今度出る予定のブルーズ・カバー集も楽しみなのだが、「構想50年、録音3日」という
多分日本だけでかもしれないが、こういう売り文句には嗤ってしまうのだけど。

昨日はブラック・サバスを取りあげた際に過去のレコードのライナーの事について触れた。
今思い返してもストーンズ関連のLPやCDのライナーにはろくなものが無かった。
それが覆されたのは、寺田正典氏が筆を執るようになってから、という印象が強い。
今回の「HAVANA MOON」も氏による大量の文字を読みたいが故に日本版を購入した。

ストーンズとその周辺の事柄だけでなく、キューバの歴史や政治の変遷やストーンズが
演奏した曲が世に出た当時の世相まで書かれていて、不勉強な私には非常に役立った。
ネット時代ということを差し引いてもリサーチにかけた時間はかなりのものだろうし、
大量の枠を与えられたからといって、あそこまでの内容を簡単に書けるとは思わないので
尚更、その労力に感謝したい気持ちになる。

さて、昔のライナーはくだらないものが多かったと書いたが、感銘を受けたものもある。
それ程多くない情報の中で書かざるを得ない状況だったか、氏が経営する会社が発行する
雑誌の体質か今となってはどちらでもいいが、アルバム内容にほとんど触れないながらも
渋谷陽一氏が書いた86年のアルバム「DIRTY WORK」のライナーは今でも好きだ。

そこにはストーンズの音楽を言葉で分析できないことに対するもどかしさが書かれてあり
それは「幸福な敗北感」と表現されていた。

あれから30年も経っているのに、私は今も「幸福な敗北感」に打ちひしがれている・・・。

コメント (2)
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