ビートルズ以前のロック或いはロカビリーと呼ばれた先人たちのオリジナル・アルバム
というのは、よほど意識して探そう或いは聴こうと思わないと、手に入れる機会と
いうのは訪れない。大抵は何人かのミュージシャンの楽曲を集めた2枚組とか3枚組とかの
便利なヒット曲集で終わってしまうからだ。
プレスリーやチャック・ベリーにボ・ディドリー、バディー・ホリーやリトル・リチャード
といったところはオリジナル・アルバムの復刻が事あるごとに成され、カタログに載る
ことがあるが、他のミュージシャンに関してはなかなかそうはいかない。私の関心が
薄かったせいもあろうが、何となくそういう印象がある。
掲載写真はカール・パーキンスが57年に発表したデビュー・アルバム「DANCE ALBUM」
を、オールデイズ・レコードが先日CD化したもの。例によってジャケットが若干改変されて
いるが、国内盤の廉価仕様というのが嬉しい。この盤がCDになるのはおそらく3回目
なのだが、国内盤でCDになったことがあるのかどうかは知らない。
ポール・マッカートニーが「カール・パーキンスがいなければビートルズは誕生しなかった。」
と言ったのは有名であるが、サーの来日に浮かれる今だからこそ、このカールの盤は
多くの人に聴かれるべきだろう。
『HONEY DON'T』『EVERYBODY'S TRAYING TO BE MY BABY』『MATCHBOX』
といったビートルズが取り上げた曲をこの盤で聴くことができるし、何より『BLUE
SUEDE SHOES』のオリジナルを聴くことができるのだ。後追いからしてみれば
こんな贅沢で便利な盤はそうはない。