HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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怒りと復讐の調べ

2015-04-23 20:17:29 | 日本のロック・ポップス

掲載写真は「歴史からとび出せ」と題された頭脳警察名義のDVD。サブ・タイトルには
「結成45周年記念ドキュメント」の文字がある。

実際に収録されているのは昨年12月22日から28日までの間に5日間行われたパンタの
様々な演奏形態。この時期のパンタといえば、恒例の「UNTI  CHRISTMAS」のライブが
ある。イベントが始まった当初に付けたタイトルの綴り間違いを潔く訂正せず、ライブの
たびに潔悪くも(笑)綴り間違いの説明をする、お馴染のイベントの前後に行われた
ZK45周年記念ライブを含むバラエティーに富んだ演奏を収録している、というのが
正確なところだ。

それにしても何故頭脳警察名義なのだろう。やはり「パンタ」と書くより「頭脳警察」と
書く方が、しかも結成45周年という大義を前面に出した方が商売上良かったという
ことなのだろうか。10年8月に3枚組DVDとなった映画「頭脳警察」を取り上げたが
あの時に感じたことを再び薄らと感じた。まあ、長年のファン(私でさえ30年のファン歴
である)には、大した問題でないのだろうけど。

2枚組DVDで、どちらも収録時間は軽く2時間超え。一気に見たのだが心地よい
疲労が「ああ、見たなぁ。」と意味不明の満足感を誘う。(笑)
1枚目のスタートはパンタのソロ。インタビューを随所に挟み込むことでパンタと
ZKの歴史を振り返る構成なのだが最初の数曲がいきなり完奏しないので
「は?」と思ったのだが他はディスク2も含めて曲はほぼ完奏するので一安心。
ただ、機材や照明の関係からか画質はそれほど優れてはいないし、編集が雑なところが
散見されるのが残念なところか。

それでも、74年にリリースされた当時のラスト・アルバム「悪たれ小僧」録音時の
メンバーである勝呂和夫と石井まさおが参加してのZKの演奏は素晴らしかった。
ジャストなリズムに派手な装飾の音楽に馴染んでいる今の若い衆にしてみれば、ラフで
下手な演奏にしか聞こえないかもしれないが、ロン・アシュトンがいた頃の再結成
ストゥージズと同じようなガレージ・ロックの魅力が炸裂しているのだから、堪らない。

2014年になって、まさかこの面子で『落ち葉のささやき』『真夜中のマリア』と
いった曲を演奏し、それを今年になってDVDで見ることができるなんて想像も
できなかった。本当に残念なのはJOJO広重が参加して大ノイズ大会になった『前衛
劇団モータープール』がインタビューで寸断されることだ。演奏におけるキメのタイミング
が怪しいところもあるが、ここで聴くことができるノイズは美しい。ノイズの中に
美しいメロディーを聴きとった時、その時放たれたノイズは雑音を超えるのだろう、
なんてことを足りない頭で考える。

インタビューでパンタが話す内容のほとんどは、昔何かで見聞きしたことばかりであるが
ディスク2を見るためだけに、このDVDを買ってもファンは満足するだろう。

コメント
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