まだまだ続くi Podネタ。(笑)
どんどん曲を取り込んで、収録曲が3000曲くらいになって取り込み作業にも
飽きてきた時、ふと思い立ったことが言葉に出てしまった。
「そうだ、フェリーさんの俺ベスト盤をつくるかな。」
すると、相方から間髪入れずに返事が返ってきた。
「そんなん、作らんでええやろ。全部ベストやろ。」
上手い物言いである。相方はブライアン・フェリーのことが大嫌いであるので、
私がそんな作業に着手したら、半日は「フェリーさん天国(相方には地獄)」に
なるのは目に見えている。それを避けるために暗に「全部ベスト盤だから黙々と
アルバムを全部取り込んで、一人の時に車の中で聴け。」というニュアンスで言ったのだ。
思えば、一人で聴かなければいけないレコードが多すぎる。(笑)
掲載写真は昨年出たフェリーさんのアルバム「AVONMORE」。購入当時に時間がとれず
聴きこみが足りなかったのだが、何度も聴いていくうちにここ数年の盤の中では
いや、全キャリアを総括しても、なかなかの出来の盤ではないかと思うようになった。
今回の音が80年代からどう変わってきたのか、大して変わり映えしない音ではないか
という考え方もできようが、1曲目の『LOOP DE LI』のイントロが数秒流れただけで
フェリーさんの声が聞こえてこなくても、「ブライアン・フェリーの曲だ」と
すぐわかるのが素晴らしいではないか。
9人ものギタリストがクレジットされた曲が2曲あるのだが、一体何人の人が
その中からジョニー・マーやクリス・スペディングの演奏を聞き分けられるだろうか。
私には無理でした、というかクレジットを見た時点で、笑ってしまった。
誰を使っても「ブライアン・フェリー」という枠組の中で「匿名希望」状態にして
フェリーさんの世界を形成するためだけのパーツにしてしまったのが、実のところ
肝であるかもしれない。ほとんどの曲をピンで任されるようになった息子の成長と
あわせて、今回の盤はフェリーさんにとって特別な意味を持つような気がする。
ジャケット写真の、明らかに現在ではないフェリーさんの写真を見ながら、この
盤を聴いていると、「もしかして、俺もまだ20歳前じゃないだろうか」と思ったり。
いや、嘘です。50手前です。(笑)
85年に聞かされても、15年に聞かされても、納得できそうな時間軸を捻じ曲げる
不思議に魅力的なアルバムである。