今年のRSDの話題の一つにジャック・ホワイトが敢行した、レコーディングから
世界最速アナログ化への挑戦というのがあった。その結果は、録音からプレスして
販売するまでの時間が3時間55分21秒という、凄まじいものとなった。
ライブ・レコーディング時にその模様を撮影し、ジャケットまで同時に作ったのだから
全く恐れ入る。そこに何の意味があるのかと問う向きもあろうが、遊びとしては最高に
贅沢な遊びだと私は思うし、人生(ロックンロール)に遊びが無ければ、つまらないとも思う。
そんなジャック・ホワイトが所有するスタジオで、これまたジャックが所有する47年式の
レコーディング・ブースで録音されたのが、ニール・ヤングの新譜「A LETTER HOME」。
レコーディングした音が、その場でカッティングされ、かつては自分の声を吹き込んだ
記念盤をつくるのに利用されたというブースでのレコーディングの音は果たしてどんなものか。
興味はあるのだが、その前にブツが手に入るのかが問題だった。アナログ・オンリーで
RSD用に用意されたそれは、RSD当日に瞬時に完売した。ジャック・ホワイトの
ザ・サードマン・レコーズのHPでしか手に入らないので、網は張っていたのだが出遅れた。
さて、どうしたものかと思案していたら、数日後に購入可能になったので高い送料を
払って購入。到着を楽しみに待っていたら、とんでもないニュースが飛び込んできた。
なんと、アナログ盤LPにCD、録音のドキュメンタリーDVD、果ては6インチ・アナログ盤が
7枚(LP未収録のディラン・カバーもあり)という、とんでもないセットがリリースされると
いうではないか。
これはまいった。
何のために必死で入手したのか、わけがわからなくなったが、わけがわからなくなった
ついでというか、腹いせにコイツもオーダーしてしまった。(笑)
LPの両面ともニールが母に宛てた手紙の朗読から始まり、今回のレコーディングに使った
レコーディング・システムの当初の目的を彷彿させる。
今回のアルバムはカバー集で、ティム・ハーディンやバート・ヤンシュ、スプリングスティーン、
ウイリー・ネルスンらの曲をピアノやギターの弾き語りで聴かせる。
モノラル録音の音は、昔のSPを聴いているようで個人的には「いい音質」とは思わないが
ここに刻まれた音の温もりとガッツには感じるものがある。ハイレゾだ何だと言っている
人には辛い音かもしれないが、ニールの実験精神と反骨心そして若干の回顧気分が
うまく調和された「遊び」を理解するのがファンというものなのだろう。
これをCDで聴いて面白いかと問われれば、答えに窮するが・・・。
昨日のブログの〆じゃないけれど、やはり、「音」は残らなければならない。
残さなければならないのだ。