HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

WAY TO BLUE

2013-08-04 00:22:41 | ROCK

掲載写真は、ニック・ドレイクを敬愛するミュージシャンによって、2010年のロンドンと
2011年のメルボルンで行われたコンサートを収録したアルバム「WAY TO BLUE
THE SONG OF NICK DRAKE」。「WAY TO BLUE」はニックの曲のタイトルであり
同名タイトルが付けられた編集盤もある。
アルバムを製作するサイドからみれば、この3個の単語から構成される短い言葉が、
端的にニック・ドレイクの短い生涯を想起させるという意味で、ある意味魅力的な
タイトルといっても外れてはいないだろう。

ライブ音源であるがオーディエンス・ノイズはカットされているため、スタジオ録音を聴いて
いるような感覚になるが、一発録音ゆえの張りつめた緊張感を感じることができるのが
素晴らしく、ニック・ドレイク・トリビュートに相応しい空気を醸し出してる。
また、バックを担当するミュージシャンが同じなので、トリビュート盤にありがちな
飛び道具的(笑)な突飛で的外れな音が無いのが聴いていて落ち着く。

私はロビン・ヒッチコックやヴァシティー・バニヤンといった名前を目当てに手にしたのだが、
それ以外のミュージシャンの演奏や歌唱も素敵で、流石にジョー・ボイド肝いりの
プロジェクトであると思うことしきり。

メルボルンでの録音ではオーストラリアのシンガーが参加していて、ここで
聴くことができるシェーン・ニコルスンの『POOR BOY』はアルバムのハイライトの一つと
言ってもいいだろうし、アイルランドのリサ・ハニガン(昨年来日)の独特の雰囲気にも惹かれる。
で、実は今回のヴァシティの歌唱というか口の動きから生じる音を
高感度のマイクが拾いすぎていて(笑)そこは、あまり気に入っていない。

ダニー・トンプスンのベースの音が心地よいし、ストリングスも流麗なバックの演奏は
まとまっていて先にも書いたが演奏に見事な統一感と彩りを加える。ミュージカル・
ディレクターはケイト・セント・ジョンが務めていて、彼女が昔在籍したドリーム・アカデミーは
好きではなかったが、ここでは素晴らしい仕事をしている。
欲を言えば、オミットされたであろうマーサ・ウェインライトの歌が聴きたかった。

今、この盤を聴きながら、数少ないニック・ドレイクのファンがこれを聴いて、その中の
多くの人が気に入る盤となればいいなと思っている。

コメント
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