アフィニティがバンド存命時に残した唯一のアルバム「AFFINITY」は、これぞ
英国ロックとでも呼ぶべき魅力的な1枚である。プログレの枠内に放り込まれることが
多いがブルーズとジャズの要素が適度に混ざり、オルガンだけでなくブラスや
ストリングスを効果的に使ったバンドであった。
レッド・ツェッペリンのファンには、そのストリングスやブラスのアレンジを担当したのが
ジョン・ポール・ジョーンズである、というのもポイントであった。
勿論、リンダ・ホイールという素晴らしい女性ボーカリストの存在も無視できない。
そんなバンドの音と同等に印象的だったのだが、キーフの手になるジャケット写真。
どういう手法なのか詳しく知らないのだが、この何ともひんやりと重たい感覚こそが
英国なんだなぁと、解ったような解らないような事を考えていた二十歳の頃から
今に至るまで、キーフの写真の魅力を上手く表現できないのがもどかしい。
03年ころからアフィニティの未発表音源が世に出始めたのだが、その盤の全ての
アルバム・ジャケットは、70年のアルバム「AFFINITI」のジャケットを加工した
デザインであった。それはそのまま、オリジナルのジャケットが与えた印象が強烈だった
ことの証左に他ならない。
06年の当グログで彼らの未発表音源を取り上げた際、「名盤誕生前夜」「夢のあと」と
表現したが、何と昨年のライブ盤が登場した。「THE BASKERVILLES REUNION
2011」と題されたそれも、当然のように過去の未発表曲集のジャケット・デザインを
踏襲したものであり、リンダ・ホイールも参加しているという前情報から、かなり期待して
聴いたのだが・・・。
全21曲中、リンダ・ホイールが歌う曲が2曲しかないのが肩透かしだった以上に、
演奏された曲のほぼ全てが、ロックやポップスの有名曲のカバーで、演奏もあの名盤からは
程遠い内容だった。リンダが歌う2曲は贔屓目もあるが、それなりに聴けるので
リンダ・ホイールの近況を確認したい向きには必携だろうが。
このライブ盤は、アルバム・タイトルでアフィニティの前身バンドである「THE BASKERVILLESの
再結成」と表記しているが、アーティスト名の表記はアフィニティである。アフィニティと名乗れば、
その知名度は全く比べ物にならないわけだから商売上の戦略は正しいのだが、適当に曲間が
編集されたCDを聴きながら、気分は複雑である。
それでも、「ジャケット違いシリーズ」(勝手に命名しました)を、これまでコンプリートで集めている
方にとっては、買い逃し厳禁なのは言うまでもない。(笑)
左:「ORIGINS 1965 - 1967」 右:「ORIGINS THE BASKERVILLES 1965」
左:「AFFINITY」 右:「LIVE INSTRUMENTALS 1969」
左:「1971 - 72」 右:「THE BASKERVILLES REUNION : 2011」
後1枚、何か出ないかなあ。そうすると虹色七変化でレインボーマンみたいなのに。
そんなわけないか。(笑)