HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

1973年に聴いた「PET SOUNDS」

2010-03-25 21:51:09 | ROCK
私の好きな映画の一つに「ギャンブラー」という邦題の映画がある。71年にウォーレン・
ベイティ主演で制作されたものだが、邦画のタイトルから勝手な想像をして、映画を見ると
このあまりにあんまりな邦題に仰け反ることになる。ちなみに原題は「McCABE & MRS.MILLER」。
2000年に制作された「あの頃ペニー・レインと」はロック・ファンなら見たことが
ある方も多いだろう。これも邦題と原題がかけ離れていて、原題は「ALMOST FAMOUS」である。

さて。「あの頃ペニー・レインと」の物語の始まりは1973年である。家を出て行った姉が
バッグの中に残したレコードを聴いて、ロックに目覚める15歳の少年が主人公なのだが
バッグの中のレコードが興味深いのだ。バッグを開けると、いきなりビーチ・ボーイズの
「ペット・サウンズ」が登場する。他には「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」「クリームの
素晴らしき世界」「トミー」「レッド・ツェッペリンⅡ」「ブルー(ジョニ・ミッチェル)」等が
入っているのだが、1973年に「ペット・サウンズ」って、ここに列記した他のアルバムと
同等に聴かれていたのだろうか?。家を出た姉の推定年齢は18~20歳くらいだから、
彼女は後追いでアルバムを買ったと思われる。

66年に発表されたこのアルバムは、キャピトルから満足なプロモーションもされず
発売から2ヵ月後にはベスト盤を発売されてしまうし、当時のファンやレコード会社、
評論家連中がとまどった話は、そこかしこで読んだ記憶がある。
82年に日本版が出た「ローリング・ストーン・レコード・ガイド」ではデイヴ・マーシュ
(CREEMの創刊者)が、それほど評価をしていないことが伺える。そして私はその本で
「ペット・サウンズ」が事もあろうか「カール・アンド・ザ・パッションズーソー・タフ」と
抱き合わせで発売されていたことを知る。そんなアルバムを1973年に、先ほど挙げた
他の盤と同じように聴いていたということは、かなり凄いことではないだろうか、
なんてことを映画を見ながら思ったものだ。

私が初めて「ペット・サウンズ」を聴いたのは87年のCD化によってである。
フライングで2曲のボーナス・トラックが収録され、すぐに廃盤になったアレである。
昔からの熱心なビーチ・ボーイズのファンの方が抱く様な思い入れには到底及ばないが
それでも、磯の香りでは無く、妙に人工的なサイケの香りを感じ取って一発で好きになった。
もっとも、その後に聴いた「スマイリー・スマイル」への思い入れが余りに肥大化した
今となっては、それほど聴くこともないが2010年の今日聴いた「ペット・サウンズ」は
やはり素敵だった。後追いで尚且つCD化(日本ではライナーの影響も大きかった)のお蔭で
皆が口を揃えて「名盤だ」という90年代以降でなく、73年いや66年にこれを聴いて
「これは凄い」と言いたかった、と久しぶりに痛飲する私であった。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする