ジャッキー・デ・シャノンといわれて、最初に何が思い浮かぶか?。
アルバムや曲ではなく、なんとなく私はハリー・ニルスンが思い浮かんでしまうのだ。
2005年に当ブログでニルスンの「A LITTLE TOUCH OF SCHMILSSON」を取り上げた時の
思いが重なるのがその原因である。自身で曲を書いて歌うのに、最初のヒットは
バカラック絡みの他人の曲であり、自身の曲がグラミーを受賞するのがキム・カーンズが
カバーした「BETTY DAVIS EYE」であったことで、ニルスンの数奇な運命と重ね合わせて
しまうのだ。
ビートルズより早くからレコードを出していると言われると「えっ?」と思うのは
70年代のSSW的なイメージを私が持っているからに他ならないが、掲載写真のアルバムを
好きな方も多いのではないだろうか。72年のアルバム「JACKIE」は自身の名前を冠した
ことから彼女の自信が伺えるし、アリフ・マーディン、トム・ダウド、そして
「R&B」という言葉を生み出したジェリー・ウェクスラーの3人がプロデューサーという
ことから、アトランティック・レーベルが総力を挙げて取り組んだアルバムということも伺える。
アレンジも曲も録音も全てが、良きアメリカを体現している。
自作曲も充実しているが、ロック者がすぐに反応できるカバーもある。特にヴァン・モリスンの
「I WANNA ROO YOU」はすぐさまヴァンを思い浮かべることが出来るアレンジも印象深く
続けてヴァンの『TUPELO HONEY』を聴きたくなっても不思議ではない。
2003年にライノ・ハンドメイドが再発したCDには、シングルに加え10曲の未発表曲が
収録されていた。その中でも驚きだったのがヴァン・モリスンがプロデュースしたものの
お蔵入りした73年4月録音の3曲だ。72年の夏から秋にかけて録音され、73年に
発表されたヴァンの「HARD NOSE THE HIGHWAY」にもジャッキーは参加していて、そのつきあいの
延長での録音となったのだろうが、発表されなかったのは短い蜜月が終わったためと見るのは
穿った見方か?。当時リリースされなかったのが勿体ないくらいの録音で、今となっては
世に出たことを感謝するしかない。
そうそう、これはジャケット写真も好きだ。横たわるジャッキーの大きく開いたスカートから
足が見えているのだが光の加減でよくわからないという、その微妙な感じがいいのだ。
ニール・ヤング・カバーはシングル・カットもされた「ONLY LOVE CAN BREAK YOUR HEART」を収録。
これも素敵なカバーであった。というわけで、もしCDで見つけたら、迷わず入手することを
お勧めする。