
生田緑地 日本民家園の家
この家は、長野県伊那市から移設されたもので、薬屋だった。
特徴は屋根が板葺きで石が載せられている。その板は、釘などで固定されておらず、ただ置かれているだけで、その上に石と木材を重しとして載せ、風等で飛ばないように押さえられているそうだ。このあいだの強風の台風のときも飛ぶことはなく、雨漏りもせず、大丈夫だったそうだ。
日本の昔の木造建築は、木材を組んで造られており、土台も石の上に載っているだけであり、今の建築のようにセメントで固めたり、釘を打ったりして固定されているものではない。だからこそ、分解してまた元のように組み立てられるのだそうである。すじかいもないので、揺れるが、壊れはしないそうだ。
現在では、法律で、土台を固めなくてはならず、すじかいを入れない建築は認められなくなり、昔の工法の家は作れなくなった。昔の家は、柱だけなので、ふすまを開け放すと、壁がなくなるが、今はそのような家はない。
この民家園にあるような家はもはや新たに造ることができないので、すでにある家を保存するしかないようだ。昔の技術は消えてしまうのだろうか。
なんだか、惜しいような気がする。
昔の家の柱や梁は、本当に立派なものだ。今では、家を組み立てるのに、クレーン車などを使う事が多いようだが、人間だけで作ったのはすごいものだと思った。

こんな屋根の家を見たのは、初めてだった。現在これを作ると、板1枚の値段と枚数からして、屋根だけでも、かなりの金額になるらしい。