ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/05/04 團菊祭「外郎売」幕見、團十郎全快祝口上!

2006-05-04 21:12:34 | 観劇
5月歌舞伎座はチケットをとらずにいたが、團十郎が病気全快で一年ぶりに歌舞伎座の舞台に立つ姿をちゃんと観ようとお茶屋娘さんと幕見にかけつけた。開演20分前くらいに到着。すでに一幕目からの分は売切れて12:50からの二幕目以降の行列だった。2時間立って並ぶことになるので交替に抜け出してデパ地下で弁当を調達する。先に出かけて戻ったら、立ち見になるかもしれないが入れることは入れる枠に入ったとのこと!海老蔵襲名「暫」の幕見計画の時、昼の部全部が売切れ状態だった苦い思い出があるので今回は並んでも有難いというもの。

そして4階まで駆け上がり、バラバラの席ではあるけれどなんとか席を確保し、残り少ない幕間時間におにぎりをぱくつく!!先の常磐津舞踊「雷船頭」はイヤホンガイド使用にもかかわらず睡魔に頻繁に襲われてしまった。空から落ちてきてしまった雷小僧の尾上右近が可愛かったし、船頭の松緑もなかなか頑張って踊っていたのはよかった。

短い幕間でうつらうつらして、さてさてついに「外郎売」!
浅葱幕が切って落とされると菊五郎の工藤祐経を中心に大磯の廓の場面に。小林朝比奈(三津五郎)やその妹の舞鶴(時蔵)、大磯の虎(萬次郎)、化粧坂の少将(家橘)らを従えて絵面になっている。若手では花魁に亀寿が並んでいたが全体的にベテランが揃って渡り台詞などでどんどん雰囲気をつくっていく。客席の高まる期待。
そこに鳥屋から外郎売を名乗る声が!小林朝比奈が迎えに出たりしてなかなか登場しないのは客席をじらす効果絶大。ようやく揚幕のチャリンが4階席にも聞こえてきて万雷の拍手につつまれて團十郎が登場。七三でのお姿はかすかにしか見えないが、双眼鏡で必死に確認。ここまでで感慨深くなってしまい、目がうるんでしまった。
舞台にまで身を進めると「狂言半ばではございますが」と、團十郎本人と菊五郎による「團十郎全快祝口上」の場に!ご本人からは闘病をささえたのは多くの方の支えがあったことを述べて感謝の意を表し、これからの精進の決意表明といった口上だった。菊五郎は「3年ぶりの団菊祭が嬉しい...」と温かい口上があり、歌舞伎座の舞台・客席全部が團十郎の元気な舞台復帰を祝ってひとつになり、温かい気持ちにさせてもらえて嬉しかった。

いよいよ外郎売の専売特許たる早口の言い立て(痰切り薬である外郎を一粒飲めば舌が回るということでその挙証)を工藤に所望され、外郎の故事来歴や効能を長々と見事な早口で言い立てる。ここでも客席はじっと息をつめて聞いていて無事に終わると熱い拍手拍手。私も数日前のTVでリハビリ後に3分間ものこの言い立ての練習中につっかえてしまう様子を見ていたので、あの段階からの相当な努力を想像してしまい胸が熱くなる思いだった。
この外郎売、実は工藤を父の敵とねらう曽我五郎ということで正体を現して工藤に迫る。そこに花道から兄十郎(梅玉)が登場。五郎は兄から「時節を待て」とたしなめられ、小林兄妹にも押しとどめられる。工藤は自分を敵とねらう曽我兄弟だとわかったところで、場をあらためての再会を約して将軍からの命を受けて催す狩場の見取図を投げ与え、正々堂々と受けてたつ気構えをみせる。
そして最後に絵面の見得で全員が決まって幕!という歌舞伎十八番、市川の家の芸で團十郎の舞台復帰を寿いだのだった。

“外郎売の早口の言い立て”は数日前に傾亭さんのところで全文をご紹介があったのをプリントアウトして目を通していたのでとても聞き取りやすかった。有難うございますm(_ _)m
これからも團十郎・海老蔵父子揃って活躍していただき、いい舞台を見せてくれるだろうことを祈念したい。

写真は、歌舞伎座前にあった看板を携帯のカメラで撮影。
追記
夜の部はチケットがとれたので5/14に観た。その時の感想は以下の通り。
團菊祭・夜の部①「保名」「藤娘」の感想はこちら
團菊祭・夜の部②「黒手組曲輪達引」の感想はこちら
團菊祭・夜の部③「吃又」の感想はこちら