ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/05/14 團菊祭・夜の部②菊パパはとんだ曲者!

2006-05-15 23:59:08 | 観劇
團・菊のふたりの後継者による舞踊2本の感想を①として昨日書いたが、そのつながりで以下の演目を②に書く。

「黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)」浄瑠璃「忍岡恋曲者」清元連中
團十郎家の歌舞伎十八番『助六』の登場人物を使った河竹黙阿弥のパロディの世話物狂言なのだが、一幕目は菊パパが輪をかけてパロディにしてくれている。
あらすじは以下の通り。
第一幕:三浦屋の新造白玉(菊之助)は、自分に入れあげている番頭の権九郎(菊五郎)に、廓から連れ出してもらう。そこへ白玉の間夫の牛若伝次(海老蔵)が現れ、権九郎は不忍池に突き落とされてしまう。第二幕:新吉原仲之町では、白酒売りの親父新兵衛をなぶる男たち(=意休のパロディ役の鳥居新左衛門(左團次)の門弟たち)を、黒手組の頭分、花川戸の助六(菊五郎)が助ける。そしてその白酒売りは三浦屋揚巻(雀右衛門)の父だった。その喧嘩を見ていた紀伊国屋文左衛門(梅玉)に大望を果たす前の軽挙について意見され、刀を封印。そのため新左衛門一派の意趣返しにも耐えることになるが、ようやく封印を解かれ敵討ちへ。文左衛門は揚巻を身請けして添い遂げるように計らう。第三幕:敵討ちの大立ち回り。

菊五郎は道化の権九郎と助六の二役なのだが、権九郎を演じる時の菊パパは昨年の『NINAGAWA十二夜』の黄色いヘルメットどころではない。権九郎登場の時のメイクにまずビックリ。眉と目はデン助劇場のデン助そっくり!(子どもの頃、土曜日の午後にTVでよく見たものだ。こういう軽演劇けっこう好きなのだ。「8時だよ!全員集合」も毎週見ていたが研ナオ子がその中でデン助メイクでカトちゃんと親父の真似していたっけ)
デン助劇場
海老・菊が寄り添って美しく決まった!と思ったら菊は捕まり海老は逃げてしまう。そして誰もいなくなった舞台に「20001年宇宙の旅」の音楽が鳴り響くと不忍池から「噂の矢ガモ」がせり上がってくる。土左衛門にもならずに矢ガモに飲み込まれた権九郎が着ぐるみを着ての登場!だまされたことを嘆きながら花道を引っ込んでいくのだが、そこで團十郎復帰の團菊祭に「行った方がいいカモ」なんて寿いでくれる。しかし、下座音楽がなぜに「恋のダウンロード」なのか??→その心は?→最後に書く。
しかしこれは俳優祭のノリだ。これを一ヶ月続けるなんて菊パパはとんだ曲者!「児雷也」でのマダムといい、人間国宝・菊五郎のパロディはさらに豪快さを増していく。

一幕目の海老・菊が並んだところは眼福。菊之助は一月の芸者役よりもさらに艶っぽさが増してきた。海老蔵は「藤娘」は美しかったがこういう二枚目をやるにはちょっと痩せすぎ。声も太いのでちょっと姿がミスマッチと感じた。
二幕目以降は大脱線はなく、楽しい世話物パロディ劇。亀蔵の朝顔仙平ら新左衛門一派の喜劇味もかなり楽しい。
三幕目の三浦屋の屋根上での助六の大立ち回りは菊五郎劇団ならではの見事さ。新左衛門一派の四天?さんたちが屋根からトンボを切って落ちていってくれる。着物を二人でもってのトンボも見事。手桶などで山型や菊五郎の紋の扇を象ったりするところもきれいに決めてくれた。助六が新左衛門を斬りつけたところで決めて幕。
劇団のこういう打ち出しはいい。とってもいい気分で帰ることができる。

さてさて写真も「恋のダウンロード」の仲間由紀恵。 なぜこの曲なのか?気がつくまでに丸一日要した。今日の夕方ハッとひらめいた。権九郎の失意の引っ込みは彼の幻となった「道行」+「駆け落ち」なのだった。気がつくのに時間かかりすぎ!
團菊祭・夜の部①菊之助の「保名」、海老蔵の「藤娘」の感想はこちら
團菊祭・夜の部③「吃又」の感想はこちら
團菊祭「外郎売」幕見の感想はこちら


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
音羽屋~ (かしまし娘)
2006-05-17 08:26:46
ぴかちゅう様、まいど!

>人間国宝・菊五郎のパロディはさらに豪快さを増していく。

ハッハッハ~。もうこのキャラでイイって感じ(笑)

2枚目より3枚目を極めて欲しいです!音羽屋~。



「恋のダウンロード」の謎解き有難うございました!

あの歌、全部ちゃんと聞いたことないし(笑)
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ああ、そういう… (キナ湖)
2006-05-17 16:50:57
私も先日、見てまいりました(感想はそのうち…)。

盛りだくさんでおもしろかったですね!

「恋のダウンロード」の選曲はそういう深い意味があったのですね!

私はそこまで熟考せずにワハハと楽しんだだけでした。未熟者です。
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こんばんは! (真聖)
2006-05-18 02:00:21
謎解きありがとうございました。



深く考えない私にはぴかちゅうさんのブログは貴重なものです。



菊五郎さん、ますます可笑しくなっていきますね。

これでいいんだろうか?

いや、いいんだってば~
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TBありがとうございました☆ (Ren)
2006-05-18 08:50:40
「黒手組」は菊五郎劇団らしいお遊びと

助六のパロのお遊びが絡んでとても楽しかったです。

菊之助の新造姿も美しいし、揚巻の豪華さも☆

でもやはり一番は菊五郎パパですね!

やられた~という感じでした\(^o^)/
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「恋のダウンロード」の謎解きがお役にたって何よりですm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-05-20 00:31:20


★かしまし娘さま

>そこへ捕り方達参上ー。イケメン海老蔵は50両を手にしてまんまと逃げちゃう.....うわー私、勝手に捕まったんだとばかり思ってました。なんてひどい奴なんだろう。かわいそうな白玉ちゃん。遣り手婆に折檻されそうになるし~。

イヤホンガイドがないと本家「助六」のどこをパロディにしているかがわからなかったと思います。だって本家も海老蔵襲名で一度しか観ていないものですから(^^ゞでも歌舞伎初心者でもよくわかっている人でもそれぞれ楽しめるというところがいいと思います。

実は初めての團菊祭体験でした。このお遊び精神、いいですねえ。これからも5月は團菊祭がはずせないと肝に銘じました。

★キナ湖さま

「恋のダウンロード」、なぜあの場面のBGMにしたのかひっかかってたのです。丸一日たってふっと気がつきました!菊五郎さ~ん、難しかったよ~。

★真聖さま

いやいや性格がしつこいだけですよ。

最後の大立ち回り、三浦屋の屋根の上で天水桶があちこちに見えたのでこれで火事対策をしていたんだなあとか感心してました。そこで桶を持って門弟の姿の四天さんが登場したので上手いなとまたまた感心。女郎部屋にしけこんでいたところを襲われたので亀蔵さんは小袖を着ていたのをはがされたんでしょうとかいろいろと味わうことができたのも面白かったです。

★「如意宝珠」のRenさま

実は不忍池の矢鴨くんの元のエピソードを知らなかったのです。ああ時局ネタに弱い私。

夜の部をもう一度観に行かれるとか!楽しんできてくださいね(^O^)/
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やはり菊パパは凄い (六条亭)
2006-06-01 21:59:01
楽日の幕見も含めて、黒手組は二回観ましたが、あの権九郎は菊パパがよくぞあそこまでやったという感じですね。



恋のダウンロードの謎ときはなるほどと思います。
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TB有難うございます。 (いっちゃん)
2006-06-09 00:13:51
今回もTB有難うございました。



自分のところの更新にアップアップ状態で、なかなか人様のところまで遊びに行けなかったりするので、ぴかちゅうさんのTBはいつも嬉しいです♪
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