ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/01/25 ソニンで大化け!「ペテン師と詐欺師」

2008-01-26 23:59:23 | 観劇

「ペテン師と詐欺師」は「天王洲 銀河劇場」杮落とし公演の千穐楽で観た。鹿賀丈史と市村正親のミュージカルでの久々の共演で面白かった。
再演することはその時点でわかっていたのだが、感想でもリピートしたいかどうか微妙と書いている。ところが日生劇場での再演ということで安い席もあることがわかり、先行予約で2階B席最前列センターをすぐに確保。
二人がハートGETを賭けにするクリスティーン役が交代してソニンになったことで期待度がさらにアップ。ソニンは市村正親主演の「スウィーニー・トッド」で主人公の娘役で出ていてその綺麗な歌声に驚いたものだ。
今回の主な配役は以下の通り。‘’内の形容詞はチラシより。
‘洗練された手口で女性を虜にする’ローレンス:鹿賀丈史
‘バイタリティと愛嬌に溢れる’フレディ:市村正親
アンドレ:鶴見辰吾 ミュリエル:愛華みれ
クリスティーン:ソニン ジョリーン:香寿たつき

ローレンスの鹿賀丈史。初演時には以下にも初老の男の役で白髪を混ぜたオールバックのヘアスタイルの鬘だったのがあまりよくなかった。今回は白髪を入れずに前髪部分を少しふんわりと膨らみをもたせて後ろに流すヘアに改善されていてイイ感じになっていた。年齢にサバを読んで36歳になっているんだからこうでなくっちゃぁ!
冒頭からアップテンポな歌になるが、ここはどうも聞き取りにくい。音響のせいもあるが、鹿賀丈史はアップテンポな歌は苦手かも。それと舞台中心にやってきていないせいかもしれないと思いつつ聞いている。私が作品に思い入れがあまりないせいか、聞きとれなくてもリズムに乗って楽しければいいやと思っているせいか腹も立たない。

金持ちの女情報はぐるになっている地元警察署長のアンドレからもらって荒稼ぎしている詐欺師だが、鶴見辰吾とのコンビが絶妙でいい。鶴見辰吾は真面目くさって実務的にサポートしているのが実にいいのだ。
仕事をした後にほとぼりをさます旅行の列車の中でフレディと知り合い、フレディに気に入られて弟子入りを懇望されると、あまりの下品なキャラクターに興味を覚えてしまい、キャンディー代わりに特訓を開始。知性と教養を磨くためのオペラの場面とかも前よりも笑える。ローレンスがフレディに「その下品さがいい」とか褒めるが、それが馬鹿にしたように感じられないところに市村正親のキャラが生きている。アップテンポな歌は市村正親の方が聞き取れる。しゃべるように歌うタイプだから「ヴァンパイヤ」の博士の時の早口言葉のような歌も見事だった。

カモにしたアメリカの石油成金の娘ジョリーンが結婚を強引にすすめるのを愛想づかしをさせるためにフレディを狂気の弟に仕立て上げての大芝居。初演の高田聖子がよかったので、香寿たつきはどうか懸念を持っていたのだが、それを覆す大健闘。芝居の上手い人だとは思っていたが、そばかすたっぷりメイクの「強引グマイウウェイ」の成金娘をここまでやるんだ!歌も踊りもバッチリだし、さすが元宝塚のトップだと大いに見直した。

同じく宝塚トップの愛華みれのミュリエルも練り上げられていい出来。「美人だけどちょっと変な女」と前に書いたが、今まで出会っていないだろう恋愛に不器用な男アンドレに惹かれてしまうという可愛さのところの魅力が増した。
愛華みれがオケピの方に「あら貴女、可愛いわね。でも負けないわよ」と声をかけていたのは女性指揮者に向けてだった。恭穂さんの「瓔珞の音」の記事で女性指揮者が登場した感慨を書かれていたのを読んでいたので開幕してすぐに気がついていた。背中の半分くらいまで届く長い髪を束ねもせずに身体全体を躍らせての指揮がいいなぁと思っていた。ようやくこういう時代がきたのねぇと私も感慨深い。

さて、いよいよソニンのクリスティーン登場。カ、カワイイ!台詞が日本語らしくないところがやはりあるが、気にならない。日本のミュージカル界にマルシアやパク・トンハとか外国出身者が増えてきたのでに観ている方ももう慣れてきてしまった感がある。ちゃんと綺麗な声で聞き取れればよい。アップテンポな歌も初演の奥菜恵よりは聞き取りやすかった。とにかく身体の動きもいいし、胸の大きく開いた衣裳の胸もセクシー。顔も派手ではないのだが、描きようでどうにでも変化させられる舞台向きという感じ。そういえば次の「ミス・サイゴン」でキムに抜擢されていたんだっけ。

このクリスティーンから5万ドルを巻き上げるという勝負がペテン師と詐欺師の間に始まった。フレディはメンタル要因で歩けない男が治療費の工面に苦労しているという芝居に打って出る。素朴で健気なクリスティーンがほだされかかるとローレンスは休暇でホテルにやってきた世界的名医に化けて応戦。
クリスティーンは思っていた金持ちの娘ではなく、自分のお金を用立ててまで献身しようとしていると聞いたローレンスが逆にほだされる。今までこんな女の子とここまで向かいあったことがないので新鮮な驚き。クリスティーンがそのフレディに騙されたと聞いて5万ドルを弁償してしまうローレンス。
このあたりのローレンスの鹿賀丈史のせつない表情にやられる。ダンスシーンで軽やかに踊るのは若手に任せてもいい。せつないソロも聞かせてくれるし、こういう魅力が活かせるいい役だ。

バカンスの季節も終わり、二人ともこの地を去ろうとしているところにやってきた女。クリスティーン、じゃなくジャッカル!この変身後のソニンがまたワイルドでよい。ジャッカルの歌もしっかりと決まって、金持ちから金を巻き上げる新しいトリオの結成だ。金持ちしか騙さないっていうのは悪人に思えないという金のない多数派に痛快さを感じさせる設定なんだな。

3人の最後のポーズも決まった!思わず嬉しくなって思わず早めに拍手を始めてしまった。「ソニンで化けた!」という感動だ。「ペテン師と詐欺師」魅力度アップだ!!
これなら再演の度に一回くらい観てもいいなぁと思ってしまった。DVD出ないかなぁ。それで歌を聞き込んでまた観たいなぁという感じだ。でも今回くらいの席でいい。それで定点チェックを続けたいと思えた。

写真は前回の公演時に携帯で撮影した舞台上の幕。開演前とか幕間に下がっている。鹿賀丈史と市村正親の顔を英米の紙幣の人物の絵にアレンジしてあるのが楽しい。再演の今回はこのデザインを使ったオリジナルグッズがつくられていた(ハンドタオル・ストラップ・マグカップ)。原題の「DIRTY ROTTEN SCOUNDALs」のロゴを使ったプログラムやTシャツもあった。これは本腰が入っている!また再演があると思うなぁ。
追記
ホリプロの公式サイトの「ペテン師と詐欺師」はこちら。出演者動画コメントで二人はソニンのことをベタ褒めしている。
②鹿賀×市村共演の次の舞台はなんといっても「ラ・カージュ・オ・フォール」!99年の中日劇場公演で観てついについに12月の日生劇場で復活だ!!これは絶対はずせない!!!


最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
★どら猫さま (ぴかちゅう)
2008-03-07 23:49:33
大阪公演のレポを有難うございますm(_ _)m
ネタバレを避けていらっしゃるので、ネタバレバレの私の東京公演の記事のTBをしない方がいいかと思い、遠慮させていただきました(^^ゞ
再演でクリスティーン@ソニンにスイッチした効果が劇的に出て、鹿賀×市村コンビのはじけ度がアップしていてノリノリで楽しかったです。DVDを出してもらえたら買って家の掃除のBGMにしたいくらいです(笑)
また再演があったら、絶対一度は観るつもりです。それくらいこのコンビの舞台は観ておきたいです。もちろん「ラ・カージュ・オ・フォール」も必見ですよね!
返信する
コメントありがとうございました (どら猫)
2008-03-05 23:45:34
こんばんわぁ。
陋屋へのコメントをありがとうございました。
大阪公演では、ご当地ヴァージョンでしょうか、ところどころ大阪弁が入って、よけいに可笑しさが増してました。ソニンが楽日は六甲おろしを歌って、「タイガースがんばれ、ついでにオリックスもがんばれ」って、バナナを持ってバスルームに消える前に言ってました。六甲おろしはどうでもいいけど。
再演があれば、また是非とも見たいですね。
ラ・カージュ オ・フォールも見逃しているので、ぜひとも拝見したいです。
返信する
★「Show Must Go On!」の♪~さま (ぴかちゅう)
2008-01-31 20:53:41
千穐楽のレポのTB&コメント有難うございますm(_ _)m
パンフは今回はケチって買いませんでした。初演時のパンフを取り出して日生劇場で読むというあやしい行動をとっていたのは私です。後ろに載っていた解説文章に記憶がなかったのできっと初演時にちゃんと読んでなかったんじゃないかと反省しました。
演出も、鹿賀さんの演じ方も変えていたんですね!ローレンスが床に転がるところなんて、こりゃ絶対変えてるぞとは思っていましたが、とにかくフレディを「キャンディよりいい」って興味深深に面白がる芝居が可愛かったぁ!そこかしこローレンスの可愛げが炸裂していて、初演よりも楽しげなのが嬉しかったです。市村さんはパワーアップ!
そのお二人のテンションを上げていたのがソニン抜擢効果だと思ったんです。
>ソニン、日本生まれの日本育ちの三世......そうだったんですか。「スゥイーニー・トッド」の前は変な衣裳で歌っている歌手だという印象しかなかったんです。ブリッコのしゃべり方だということならそれもすごいですねぇ。次は「ミス・サイゴン」のキムを是非観たいと思ってしまいました。
私も再演は大満足で、是非ぜひ再再演を希望しています。
返信する
楽観てきました (♪~)
2008-01-31 08:14:32
今回とてもよくなっていて、大劇場にかけただけありますよね。
パンフによると演出も変えた部分が多かったり、鹿賀さん自身も”初演のローレンスはあえて笑いをとりにいかない「スマートな人」として、今回は「おかしな人」として”演じていると語っていました。

>台詞が日本語らしくないところがやはりあるが、気にならない。

ソニン、日本生まれの日本育ちの三世です。
たぶん台詞回しのなかで、うぶなお嬢ちゃんぽい感じのしゃべり方(ぶりっ子<死語?)をしていたせいだと思います。
比較するのは変かもしれませんが、若手として最近観た『オセロー』の蒼井優よりも日本語は綺麗な発声で発音も上手でした。(若い人たちの日本語の発声が乱れているので...)

コメディらしい楽しい舞台になっていて、再演大満足でした!

返信する
皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2008-01-29 20:58:56
★かずりん様
ソニンが良いので市村×鹿賀の二人のおじさまが刺激されてよけいにハジケてます。大阪公演をよかったら観てあげてください。一階右側通路側から市村さんが登場すると思うんですけどね。
★harumichinさま
>鹿賀さん市村さんのコンビにつきました......この作品はそこが要だし、初演もお二人の場面はよかったんですけど、奥菜ちゃんが出てくると盛り下がってしまった(^^ゞ今回のソニンでお二人がさらに盛り上がっているように思います。
しっかりリピートされるんですね!
★「瓔珞の音」の恭穂さま
本文中に書いた女性指揮者の情報は恭穂さんの記事だったことを思い出しました。本文中に早速リンクしてご紹介させていただきましたのでご了承くださいませm(_ _)m
>再演で、更に洗練された印象になりましたよね......ホントそう思います。さらに日生劇場は鹿賀さん市村さんのホームグラウンドって感じなのでよけいにしっくりした気がします。今回でDVDとか出ると買ってしまいそう。それで聞き取れない歌を聞き込んで観ると次からの公演もより楽しめると思うんですけど、出ないかなぁ。
アンケート用紙とチラシの束にオリジナルグッズのチラシも入ってましたよね。会場限定ですが、大阪とかのお友達で観る方がいれば頼むとか(^^ゞ
早くも「ラ・カージュ・オ・フォール」への期待が高まってます。私が観た時の息子役はニーロくんで恋人役は森奈みはるでした。市村・鹿賀のなにげないいちゃつきぶりを想像しただけで涎が出そう・・・・・・アブナイなぁ私(^^ゞ
返信する
ソニンさん、良かったですよねーv (恭穂)
2008-01-27 21:41:58
こんばんは!
再演で、更に洗練された印象になりましたよね。
市村さんと鹿賀さんをはじめ、
キャストの皆さんがめちゃくちゃ楽しそうで、
純粋に楽しめた舞台だったと思います。
オリジナルグッズ、チェックしそこねましたー(涙)。
今回は1回きりの観劇なので、
再々演を今から楽しみにしていようと思います。
もちろんその前に「ラ・カージュ・オ・フォール」ですよね!!
返信する
元気なお二人 (harumichin)
2008-01-27 01:24:20
思い立ってでかけた
今回は、鹿賀さん市村さんのコンビにつきました。
元気だなあ・・と。思わず。
そしてもう1度28日に見ます。
返信する
悩みます! (かずりん)
2008-01-26 22:17:59
奥菜ちゃんで観たんですが、私もイマイチだったんです・・・
きょえ~~!UPの題名が魅力的っ!マジですか!!
>ソニンで大化け!
う~~~ん、心揺さぶられる~~~!
返信する

コメントを投稿