ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

10/02/25 歌舞伎座千穐楽夜の部(2)高下駄タップの「高坏」

2010-02-28 00:33:44 | 観劇

2004年12月に観た勘三郎の勘九郎としての最後の舞台「今昔桃太郎」の中で中年メタボになった桃太郎が痩せるための運動として踊りに踊る場面があった。勘九郎として踊ったことのある演目のメドレーだったのだが、「高坏」の下駄タップもホンのちょっとあった。それを今回初めてちゃんと観ることになるので楽しみだった。
昭和の初めにタップダンスが流行した時、六代目菊五郎がそれを取り入れて下駄でタップ風に踊る新作舞踊として初演。娘婿の十七代目勘三郎が戦後になって復活、さらに工夫したのだという。今月は十七代目中村勘三郎二十三回忌追善公演ということで2階ロビーに所縁の展示があった。その中に十七代目が使った「高坏」の高足=高下駄の展示されていて、それを携帯で撮影したのが冒頭の写真。

【高坏(たかつき)】
あらすじと配役を公式サイトよりほぼ引用。
次郎冠者(勘三郎)は、主人の大名某(彌十郎)と太郎冠者(亀蔵)と共に花見に出かける。大名は次郎冠者に盃を載せる高坏を買うよう命じ、太郎冠者と立ち去る。ところが、次郎冠者は高足売(橋之助)の口車に乗せられて高足を高坏と思い込んで買ってしまい、大名の酒を二人で飲んで酔い潰れる始末。高足売が去り、大名達が戻ってくると、次郎冠者は高足を高坏だと言い張って高足を履いて踊る。

今現在の日本でダメ男を愛嬌たっぷりに演じられる役者といえば、まず勘三郎だと思う。それを騙す役として橋之助というのも実にぴったりな組合せだ。黒塗りの高下駄を杯をのせる高坏だと言いくるめ、鼻緒を高坏の尾だと納得させてしまうのだが、確かに黒塗りなので見た目はなかなか立派だし、地面からは高く離れるし、鼻緒の間に赤塗りの杯の底がしっかり挟まって置けるし、それなりに見えるのだ。本当に知らなければそうだと言って言い張るのも無理はないと思わせるのが実に可笑しくていい。

次郎冠者が大名と太郎冠者に高坏だと言い張っていながらも、履いてみてしまってなんとなく踊ってしまう。これは間違いに気がついたけれども謝りたくはなく、なんとなくごまかしてしまおうと酒の酔いが残っている中でとっさに身体が動いてしまったのだろうか。
最初は怒っている大名と太郎冠者もその楽しげな動きに誘われて、自分たちも身体を動かして笑ってゆるしてしまっているのがいい感じだ。

実はこの記事を書きながらもさっきまで怒っていることがあったのだが、こうやって舞台を反芻しながら書いていると、ちょっと赦そうかなぁという気分になってきたかな。
2/25千穐楽夜の部(1)三津五郎×福助の「壺坂霊験記」


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2 コメント

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間違ってた・・・。 (かずりん)
2010-03-09 10:57:38
私・・・この『高坏』って舞台で見たことあるっ!
・・・と思い込んでいたのですが
違いました!
こちら、読ませていただいて分かったのですが
勘三郎さんの素晴らしいタップは
『今昔桃太郎』で見たんだ~~~!
(しかもDVDじゃないか!)
いや~間違い発見に驚きました!
人は・・・・脳内で、都合のいいように
出来事を変えて記憶していくのですね・・・(笑)
「が」とか「も」とかも・・・(笑)
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★かずりん様 (ぴかちゅう)
2010-03-10 00:31:50
>『今昔桃太郎』で見たんだ~~~!......「勘九郎箱」のDVDですね!思い込む力があるところが人間だと思います。
なかなか楽しい舞踊劇でした。こういうのだったら私も眠くなりません(^^ゞ
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