ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/11/23 顔見世大歌舞伎の舞踊4本の感想

2006-12-08 23:59:30 | 観劇
11/12と11/25に昼の部、11/23に夜の部を観た舞踊4本の感想をまとめて書く。

1.11/23夜の部『鶴亀(つるかめ)』
能の『鶴亀』の詞章をそのまま長唄に移した舞踊で春の節会の舞。顔見世は歌舞伎興行の1年契約スタートの公演がルーツだからまぁ新春気分ということかなと。
女帝の御世がいつまでも続くように、千年万年の寿命をもつという鶴と亀に扮して舞いが披露され、女帝も連れ舞われるというおめでたい内容。
女帝=雀右衛門 鶴=三津五郎 亀=福助
3人が並んで舞台中央にせり上がってくるのを見ただけで溜息がもれる。美しい!内容はどうあれ、こういう平安朝の衣装での舞いは優雅でとても好きだ。足がきかない雀右衛門には動きも抑え目なのもいいし、こういう髪型が本当によく似合う。三津五郎と福助は頭にそれぞれ鶴と亀の作り物を載せて舞う。三津五郎は昼の部の源太よりもこちらの方がいい。色男よりもこういう上品な立役の方がいいと思うのは何故だろうか。

2.11/23夜の部『雛助狂乱(ひなすけきょうらん)』
二代目嵐雛助(1774~1801年)が初演したことから名づけられた長唄舞踊で、歌舞伎座では初めての上演とのこと。『演劇界』の顔見世からの表紙の写真がこの演目なのはそのためか。
秋田城之助(菊五郎)が狂乱しているふりをして敵の様子を探っているということで、狂乱ものといっても「保名」と違うという。捕手との立ち廻りが入るところが菊五郎劇団ならではの見ごたえあり。

3.11/23夜の部『五條橋(ごじょうばし)』
富十郎が鷹之資を襲名した七歳の長男を相手に武蔵坊弁慶と牛若丸の出会いを踊る長唄舞踊。どうも子役を中心にした舞踊は関心が持てない。この親子の場合は同じ舞台を踏む機会を増やしてあげるのはいいと思うけれど、昨年の襲名の時も同じような舞踊だったはず。なぜ2年続けて同じようなものを出すのだろう。まぁ私は昨年を観ていないのでちょうどいいけれど。

4.11/25昼の部『七枚續花の姿繪 源太(げんだ) 願人坊主(がんにんぼうず)』
前半は梶原源太景季。風流を愛する色男の代表だ。お約束の梅の枝をさした兜をしょって廓に通ってくる。戦の様子を物語ったり馴染みの傾城との痴話喧嘩の様子を踊る。三津五郎にはあまり色気を感じないので前半はちょっと退屈。
後半の願人坊主。浅葱幕を落とすと二枚目から三枚目に大変身。門付けをして街を歩く願人坊主が自分の色の道に入った経過も含めてひょうきんに踊る。三社祭に出てくる「悪玉」踊り的なところもあったので、「悪玉」踊り自体の人気の高さがしのばれた。穴あき銭をはさんだチョボクレを打ち鳴らしながら踊るのも面白い。千穐楽の日はそれを落としたりもしてしまっていたが、後半の三枚目の方がよかった。

三津五郎が昼夜三役を踊りわけ、ますます舞踊に磨きをかけているのを楽しめた顔見世。昼の部の「先代萩」を“まま炊き”つきにして「先代萩」だけにすればよかったという声もけっこうきく。私もそういうのもいいと思うのだが、歌舞伎座ではきっとそういう公演をやらないという方針でもあるのかもしれない。また、濃厚な「先代萩」を味わった後の口直しのデザートということでよかったという面もあったんじゃないかな。

写真は『演劇界』2007年1月号の表紙画像を公式サイトより。
関連の感想記事はこちらm(_ _)m
11/25昼の部①「先代萩」前半・八汐編
11/25昼の部②「先代萩」後半・勝元編
11/23夜の部①「良弁杉由来」
11/23夜の部②團十郎の「河内山」


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