ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

12/08/19 「大感謝祭!亀治郎の会 さよなら公演」(3)澤瀉屋型「連獅子」を堪能!

2012-08-25 23:59:40 | 観劇

「大感謝祭!亀治郎の会 さよなら公演」のレポはこれでラスト。
(1)「栴檀女道行」ほか
(2)「檜垣」の老女もよかった
○澤瀉十種の内 長唄「連獅子」
狂言師右近 後に親獅子の精=猿之助
狂言師左近 後に仔獅子の精=尾上右近
法華の僧蓮連=亀鶴  浄土の僧遍念=門之助

澤瀉屋型「連獅子」は初見。ご一緒したさちぎくさんによると亀治郎時代に三代目猿之助の親獅子と踊った舞台が本当に素晴らしかったとのこと。本人も伯父ともう一度踊りたいと言っていたということだが、それはもうかなわないこと。自分が親獅子側に回って今回のように若手と踊ってくれればいいし、将来的には團子と踊ってくれるのを私も観たいと思う。そして澤瀉屋型は動きが派手で運動量が多いという亀治郎の話を何かで読んでいたので、今公演の一番の楽しみの演目だ。

狂言師右近と左近が登場するとまずは衣装をチェック。小袖は地味な感じだったが、手持ちの獅子のたてがみ部分の布の綺麗な緑色で揃えているのが珍しい。
尾上右近も若手の中では踊り達者ということで、猿之助の胸を借りて一生懸命踊れるのが誇らしそうに見える。猿之助の方は右近を余裕たっぷりに気遣っている表情だった。そして進行につれて狂言師の右近と左近というよりも親獅子と仔獅子にどんどん見えてくる。
獅子は我が子を千尋の谷に突き落とし、自力で這い上がってきた子だけを育てるという伝説に基づいているわけだが、突き落とされる仔獅子がごろごろと転がるのが澤瀉屋型というのも聞いていた。右近が横になって舞台上手に転がっていくだけでなく、猿之助もそれに合わせて蹴る所作を繰り返す。まさに獅子だけに「蹴転がし」、そのタイミングがバッチリあっているのに感心至極。

仔獅子は谷底から這い上がるのに疲れて途中でまどろむが、親獅子からはその様子に「あら育てつる甲斐なきや」と落胆する。その心情が芝居としてしっかりと感じられ、その親の姿に勇み立って勇躍する少年仔獅子の健気さに泣かされたのは富十郎一周忌追善の吉右衛門と鷹之資の「連獅子」だった(感想未アップにつき恐縮m(_ _)m)。
今回の猿之助からも親が子を育てる思いの深さが感じられ、双眼鏡で目の辺りから何かが飛び散ったように見えたが、あれは汗だったか?!右近の仔獅子は親の思いに立派に応える青年獅子という感じ。

試練を仔獅子が乗り越えて戻った嬉しさいっぱいに親子の獅子が連れ舞うところに差し金の胡蝶が戯れ飛ぶ。獅子のお腹に巣食う虫の特効薬が牡丹の露で、牡丹には蝶が群れ飛ぶというお定まりがあり、それで胡蝶が飛ぶわけだ。その胡蝶の姿に猿之助の獅子が我を忘れてじゃれついてしまう様子に驚いた。猫じゃらしに堪らずじゃれつく猫や、鼓の音に我を忘れてうっとりする源九郎狐のような「けもの」の本能的な獣性を表現していて可愛い!

その胡蝶に誘われて親子の獅子の心で花道を引っ込んでいくのを花横で見られた嬉しさよ!!

亀鶴と門之助による二人の僧の間狂言の途中で、ついに意識が飛んでしまう。やはり舞踊3本立ては私の集中力の限界を超えるということか(^^ゞ
後シテの獅子の拵えで猿之助と右近が花道から登場すると再びテンションアップ。右近の仔獅子の精は前を向いたまま花道をいったん引っ込んでいく。花横で見ることができる機会を堪能。
舞台中央には、石橋を表すように2つの台とその上にもう1台を重ね連ねられた。先に猿之助の親獅子の精が上手の方から両足を揃えて飛び上がっていく。花道にいる仔獅子の精は片足を上げて待ち、親獅子の精が飛び上がって着地するタイミングに合わせて足を下ろす。それを2回繰り返して最上段に親獅子が上がるという演出は見事なものだ。

仔獅子の精も舞台に揃い、赤と白の毛振りの場面。通常の型では移動中は揺らすだけなのだが、澤瀉屋型は早くも旋回させながらの移動になるようで驚いた。

きちんと腰を使って全身をしならせての毛振りは見ていて美しい。猿之助と右近の二人ともが見事だった。猿之助の方が位置を定めて本格的に回し始めてからカウントしたが、78~80回という感じだったと思う。途中でスピードを上げて小気味のいい毛振りだった。
最後は猿之助が台の上で、右近がその下で二段に極まっての幕!
そして大劇場に沸き立つ拍手の中でその幕は再び上がってカーテンコールになった。観客は総立ちになりスタンディングオベーションに両の手を開いて掲げて応える猿之助。10年間の積み上げに区切りをつける「亀治郎の会 さよなら公演」にふさわしく、立派な座頭になったという自負のあふれる堂々とした姿に胸が熱くなった。テンションアップ、テンションアップ。
やっぱり最近の私はカメLOVEが昂じていると自覚。なんとしても今日中にどこかの本屋で『僕は亀治郎でした。』を見つけて買うぞ~と決意が固まる(オイオイ・・・・・・)。

実は観劇後は、さちぎくさんのお誘いで3人で写真展「市川亀治郎“飛”」もハシゴをして観に行くというカメカメ企画の日にしている。そちらも続けて書く予定。『僕は亀治郎でした。』は本屋を巡るが在庫なしの店ばかり。ようやく5カ所目の新宿ルミネ1ブックファーストにてGET!

冒頭の写真は、今回の公演に合わせてロビーで配布されたNHKの番組宣伝チラシ。表には8/23夜のNHK総合のドキュメンタリー「新・猿之助誕生」をカラーで、裏には文字だけだったが9/9のEテレの襲名披露公演録画のオンエアのお知らせがあった。次の幕間に行ったらもう白黒コピーに置き換わっていた。とにかくなんでもすぐにはけてしまうのにびっくりのさよなら公演だった。


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2 コメント

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Unknown (hitomi)
2012-08-29 01:29:23
TBありがとうございます!
今回のドキュメントで実父と連獅子を踊っているのを観て舌を巻きました。可愛く見せるために小さくならざるを得ず子獅子の方が難しかったのですね。
團子と踊ってくれるのを私も観たいです。澤瀉屋はスピーディで覚醒されます。
昨日、TBが送れませんでしたのでもう一度トライしてみます。
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★hitomiさま (ぴかちゅう)
2012-08-29 01:33:05
貴ブログにで拙記事をご紹介いただき、有難うございますm(_ _)m
このドキュメンタリー番組「新・猿之助誕生」については記事アップの予定がないのですが、「亀治郎の会さよなら公演」で配布されたNHKの宣伝チラシをその記事に使っているのでTBさせていただきました。
9/9のEテレでの襲名披露公演録画のオンエアも楽しみです。忘れずに録画して堪能しようと思っています。
澤瀉屋型の連獅子は面白いので、次回の機会も絶対必見ですね(^_^)
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