ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/03/04 職場で平和の朗読会『命どぅ宝~IMAGIN』

2005-04-04 20:57:48 | 観劇
1月の『ビニキの海は忘れない』上映会に続いての平和企画。
私の職場には「ポエム」という労働組合の朗読サークルがあり、2003年に15周年を迎えていた。その記念に大きな朗読発表会をと計画され、沖縄への取材旅行にも行かれて準備に1年半かかったとのことだったが、感嘆に値する内容だった。東京近辺の複数の事業所から仕事が終わってから集まり会議室を借りて話し合ってストーリーをつくり、持ち帰って台本を分担執筆し、まとめ上げるのにも数ヶ月。練習を積み重ね、音楽も作曲もできる男性職員の協力を得て、話の内容に合わせて選曲・編曲してもらい、日曜日に音あわせを重ね、ついに本番!職場の内外から130名を超す参加があった。

ストーリーは職場の友人が話をする中で沖縄戦について皆で調べようということになったというサークルの活動を踏まえたところから始まる。数人が沖縄への取材旅行に行き、戦争資料館や数々の戦跡、全ての戦没者の名前の刻まれた平和の礎(いしじ)を訪ねる中で沖縄戦の実態がわかってくる。また、今沖縄に日本にある米軍基地ののほとんどが集中していることがどんなに沖縄の人々を苦しめているのかも基地を目の前にし、地元の平和を守る活動に取り組む人々と交流する中で、自分の問題でもあるのだと自覚が高まってくる。それを多くの人に知らせたいとの気持ちの高まり。それが無理なく伝わってくるような内容だった。
反戦地主の佐喜眞さんが米軍からやっと返還をかちとった土地に佐喜眞美術館を建て、「原爆の図」で有名な丸木俊・位里夫妻の「沖縄戦の図」を展示している。そこでメンバーが丸木夫妻が描いた絵本『おきなわ島のこえ』(小峰書店)にめぐりあい、その絵と文章に惚れこみ、出版社の許可も得て朗読の中にしっかり組み込んでいるのがすばらしい。
つるちゃんのおじいさんが三弦(さんしん)を弾いて歌う
「イクサユン シマチ、ミルクユン ヤガティ、ナギクナヨ シンカ、ヌチドゥ タカラ」
(せんそうはもうじき終わる、平和で豊かなときが来る、泣くなよみんな、命こそ宝)
メンバーの一人が三弦(さんしん)を買って独習してそれに合わせる。ギター部の部長さんだったということだが、それでも短期間でこんな本格的な音が出せるなんてすごいと感心。

取材した沖縄の写真もプロジェクターで壁に映し出してその前での朗読もすごい迫力。沖縄は戦後もアメリカの世界戦略のために米軍の支配下におかれてしまった。その間に米軍基地のために自分たちの土地を接収されてしまった多くの人々。日本に復帰するための30年近い闘争の末に1972年日本に復帰。核抜き、本土並み復帰を願った人々の思いはかなえられず今日にいたっているのだ。
その後、沖縄経済の中に米軍基地はしっかりと組み込まれてしまい、基地をなくしたら失業してしまう人々が多くなっているのが実情だ。基地の返還に積極的の取り組んだ革新の太田知事が県知事選で惜敗してしまうくらいだ。
1995年10月米兵による少女暴行事件におこった県民総決起集会が10月に開かれ、8万5千人が集まりました。普天間高校や浦添高校では生徒会で話し合い、バスに皆で乗って参加をよびかけ多くの生徒が参加したという。その高校生代表の中村清子さんが意見表明。その録画が「イマジン・ビデオ」にあったのを調べて、その内容も朗読された。
「私たち若い世代も考え始めています。決してあきらめてはいけないと思います。あきらめてしまってはこんな悲しい事件をくりかえすことになります。戦争で女性や子どもを犠牲にするのはもうやめてください。おきなわを平和な島にしてほしいと願います」

最後に「ポエム」の皆さんが大事にしてきた「日本国憲法前文」の朗読。そして指導者の大原穣子先生による「教育基本法前文」の朗読(憲法の精神をきちんと教育することを宣言する内容)。こうして続けて聞くと、「戦争の犠牲の上に勝ち取った憲法でそれを国民にしっかり教育していくのだ」というような戦後すぐの精神が伝わってきた。

音楽担当の男性職員の力を最大限に発揮してもらうためにハーフサイズではあるがグランドピアノもレンタルされ、その自在な演奏が朗読を彩る。冒頭と最後にはオペラを習っている女性職員のソプラノで「てぃんぐさぬ花」「童神」が独唱される。会場にはメンバーが偶然新宿での展示にめぐりあった「LOVE &PEACE展」でお借りすることになったというアーティストによる「憲法9条の条文」の作品も展示されている。ピアノの生演奏も贅沢だったが、それによって感動が倍以上になったと思う。平和の文化祭のようなレベルの高い発表会だった。

終了後、都合のつく方は残って短時間ではあるが交流の場も持たれた。そこでの発言や参加者のアンケートからも多くの人に「ポエム」の皆さんの思いが伝わったことがわかった。私も決してあきらめないで、できることをしていこうと元気をもらうことができた。ありがとう、ポエムの皆さん。

写真は「さをり織り」も続けているメンバーが織り上げたタペストリー。「命どぅ宝~IMAGIN」と織り込まれている。

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2 コメント

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ありがとうございました ()
2005-04-04 22:52:37
自信を持ってもいいんだと思えるような感想でとても嬉しいです。

もう1ヶ月も前になるのですよね。

熱心に指導していただいた先生に感謝。

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私も暗唱できます。 (石橋)
2005-05-15 01:41:00
TBありがとうございます。

実は私も小学生の頃に

クラス全員で日本国憲法前文を暗唱しました。

他にも宮沢賢治の詩や平家物語を

覚えさせられたのですが、

今では前文だけしかすらすら出てきません。

今頃になって前文の意味がじわじわ

身に沁みてきました。
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