ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/09/14 杉浦日向子『一日江戸人』読み終える

2005-09-15 01:40:04 | 美術・本

一応「美術」のカテゴリーにしたけれど、イラストの本ではない。杉浦日向子さんが亡くなってしまい、本屋には追悼のコーナーができ、そこに並んでいた本の中で一番気に入った標記の本を古本屋で買おうと行く度にチェックしておいて9/10の土曜日にやっと見つけて少しずつ読んだ。
先日、お茶屋娘さんから講談社現代新書『サラリーマン武士道―江戸のカネ・女・出世』(山本博文著、絵=黒鉄ヒロシ)という本を借りて読んだところだった。これで江戸の武士社会と町人社会の生活実態と人々の意識がイメージできるようになった。

杉浦日向子さんは、NHKの「お江戸でござる」という番組で解説しているところをよく見ていてなかなか感じのいい方だと思っていた。ところが描いている漫画はかなり渋めの作品なのでなかなか手がでていなかったのだった。今回も追悼のコーナーにあった本は『風流江戸雀』や『江戸アルキ帖』など、かなり江戸について興味がないとつらいかなという本も多かったのだが、この『一日江戸人』はとっつきやすかったのだった。以下、少し引用。

江戸人は「キザ」と指摘されるのを何よりおそれていました。「キザ」は「気障」と書きます。...気障りな状態を言います。
粋(いき)、通(つう)といった、江戸人の美意識は、わだかまりのない、さらさらした、極上の水(うまい水)のようなものでした。「キザ」は、その対極にある感覚でありました。
→私は「粋」も好きだけど「キザ」も大好きだ。ハハハ(^^ゞ

本の裏表紙のところにも「江戸の人々の暮らしや趣味趣向がこれ一冊でわかる」とあるが、これ一冊でというところは少し割り引くにしても、江戸文化の入門書としてはこれはとてもいい本だと思った。自筆イラストもあの真面目な感じの絵と可愛いタッチの絵のバランスがとれていて、それも魅力的だ。
歌舞伎の世話物などを理解する前提として知っていたいことも多かった。武士社会の基礎知識になる『サラリーマン武士道』とともにオススメである。

しかし、今更ながら杉浦さんの早世は惜しい。同世代の女性として、かなり寂しさを感じる。