Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

下野竜也指揮読響ベートーヴェン「第9」2011.12.20批評 中編(No.1962)

2011-12-22 22:00:42 | 批評

デュトワ クラスの大指揮者に 下野竜也 が飛翔する予感を抱かせた「第9」の超名演!


 ホールに入ると「第9」の時は、「楽譜」を見に行く。「指揮者用スコア」「第1ヴァイオリン」と「右側に座る弦楽器」は必ず見える。「第1ヴァイオリン」はブライトコプフで随分使い込まれた感じの楽譜。おそらく旧版。スコアも「ブライトコプフ」で旧版っぽい。

おそらく読響が既購入の楽譜使用 ← 経費削減の為


と推測。下野竜也 が事前に新版2種(ベーレンライター&新ブライトコプフ)を読み込んでおけば、実際の演奏は「下野竜也の理想」になるからだ。ベートーヴェン「第9」は新旧版で小節数は全て一致しているからだ。(ブルックナーは、こうはいかないぞ(爆)

 右側に移動する。何と「チェロ楽譜」が置いてある。あれれ、2007年末「下野竜也の第9」は第2ヴァイオリンだったような気がするのだが。猫頭なので「錯覚だったかな?」と思いながら座席へ。渡辺和 のプログラムノートに「2007年は対向配置」と明記されているぞ!


私高本が「下野竜也 がはっきり1ステップ上に昇った」と聴こえた演奏会は「ブルックナー交響曲第4番ロマンティック」の東京オペラシティ公演


だった。ブルックナー は「曲に依り好きな作曲家」で交響曲は第2番~第4番が特に好きである(← チョット変です、ハイ)ので、在京オケの「これ!」って演奏会は随分聴いた。読響シェフだった アルブレヒト & スクロヴァチェフスキ のブルックナーは(何番かは問わず)全部聴いた。インバル が読響振った第8番は2日共聴いた。
 ・・・で、その中で「抜群」だったのだ > 下野竜也のブルックナー第4番!

 特筆すること1点だけ記す。

金管配置が左から、ホルン → チューバ → トロンボーン → トランペット で、舞台奥中央に ティンパニ でトロンボーンとトランペットの境の奥


であった。この配置がブルックナー第4番には最適! インバル や スクロヴァチェフスキ を越えた「音響」を導いていた。私高本が聴いた日は収録が無かったが、次のサントリーホール公演は収録され、「深夜の音楽会」で日本テレビで放映されたので、ご覧になった方も多いことだろう。サントリーホール公演も全く同じ金管配置であった。


 猫頭の私高本は「ブルックナー第4番と同じような金管配置かな?」と思って座席に着くと唖然。ティンパニ以下の打楽器が左に寄せられている! 「ティンパニは絶対に真ん中で無ければならない」と力説する指揮者にも(合唱団員として歌った「第9」で)出会っていたので、これはびっくり。楽団員が入場して来て更に唖然。

打楽器が最も左なのは事前配置で分かっていたが、その隣がトランペット、次にホルン、思い切り(弦楽器を挟んで)トロンボーン3名が右に孤立。あぁ、合唱バスパートの真ん前にトロンボーンか!



 冒頭のホルンが鳴る。名手=山岸博が今晩も引っ張ってくれるのか! の安心が訪れる。きちんと「ピアニッシモ」で開始される。


 ホルンを「ホールの左壁から離す」とピアニッシモは問題無いのだが、「フォルティシモの返り」が弱くなる。「響きがホールに充分か?」は全て指揮者 = 下野竜也 の判断に任される。「第9」は長い曲で、ピークは第4楽章にあるのだが、「演奏がつまらないと第1楽章で帰宅する客が多い公演」である(爆
 この日も「特別公演」であり、スポンサー様が多くのチケットを買い上げてくれたおかげ様で成り立った公演。スポンサー様は(大きな声では言えないが)外来オペラやら、外来オーケストラ(特にベルリンフィルとかウィーンフィルとかを好む)に耳慣れている(← 私高本とは違うよ!)ので、さっさと帰宅される方が多い。まあ、しゃーないわな(爆

 指揮者 = 下野竜也 が「きちんと全体設計」する必要がある。下野竜也は「答え」を用意していた。

第1楽章再現部入りで「ピーク」を作る。弦楽器も管楽器も「美しい音色の範囲」で奏でる。「フォルティシモ」はティンパニに硬いバチで渾身に叩いてもらう


だった。第1楽章練習番号「K」だよ。あぁ、このティンパニは、東京では読響でしか聴けない響き! 岡田全弘、ありがとう!!! 下野竜也は、オーケストラメンバーに全幅の信頼を置いて設計している!

弦楽器を決して押し付けない。それは「岡田全弘 の ティンパニ で充分出せるから」と信じているからだ


 N響では全く無理。演奏技巧水準が全く違うからね。合唱団の問題とかではないよ。

 この日の「VIP席」はおそらく1階席通路前後と2階正面席。遅刻客が多い上に「遅れて来たのに座席案内」が多かったから。このスポンサーのおかげ様で「この値段でこんな素晴らしい第9」聴けるのだから感謝。結構、残業で来れなかった人が多いのは残念。是非是非聴きに来て下さいよ > 演奏いいのだから

 第1楽章の精度高い演奏を聴かせた 下野竜也 + 読響 は第2楽章でも「驚愕の解釈」を披露。トリオで、「第1ヴァイオリンを半数にした箇所があった」のだが、何と「内側プルトに演奏させた」である。普通「半数指示」があると「前半分」か「外側」になる。読響に限らず、どこの在京オケでもそうだよ(爆

 第3楽章演奏から類推すると「当日のコンサートマスター = 藤原浜雄のアイデア」の可能性が高い。また、その事実は「内側プルトも外側プルトに匹敵する読響の充実ぶり」を示した、と思う。この辺りはいきなりのことだった(響きが変わって「あれっ?」と思って見たら、次に移った)ので、12/26公演ではきちんと聴くが、批評を書くかどうかは分からない。何せ「猫頭」じゃけん(爆


 第3楽章のホルンは「基本的には1番ホルンの「山岸博」が吹いた。「基本的に」と奥歯に挟まった書き方をしたのは、「2番ホルンが低音を吹いた」からである。

(続きは日曜に書きます。26日公演チケット購入には間に合うからね。)
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