Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

D899/1+D916B+D916Cの魅力(No.1761)

2010-07-17 23:29:13 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 本日も 7/20佐伯周子シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会第8回プログラムノートに書ききれなかった記事である。


 聴きどころは以下の通り。

  1. 作曲当初の「3曲連作」として聴くか? 「D899/1第1稿」を1つ、「D916B+D916C」を2曲連作として聴くか?

  2. D899/1第1稿 は「最終稿」とどこが違うか?

  3. D916B と D916C は、どれほどまで技巧的なのか?

  4. D916C の「規模の大きい終楽章」構造


 D916B は「ピアノ3重奏曲変ロ長調D898作品99第1楽章第1主題」と「交響曲ニ長調D936A第1楽章第1主題」に転用された。作曲当初は「中間楽章」として思い浮かんだ旋律でありリズムなのだが、後の転用を見る限り「冒頭楽章にふさわしい」と思い直した、としか考えられない。「D916B+D916C」が2連作、として聴くのも無理ないことなのであり、聴衆の皆様の自由である。

 D899/1第1稿 は、冒頭から「えっ?」と思われるだろう。「シューベルトは熟考型作曲家」なのだが、昔々の「作り話映画」の悪影響で「書き飛ばし作曲家」と誤解されている。シューベルトファンならば誰もが知っている「即興曲第1番」の原型を聴いてほしい。尚、佐伯周子は「最終稿の方が圧倒的に出来が良く、比較にならない」と言っているので、演奏は今回限りになると推定される。

 D916B+D916C は、出版社トビアス・ハスリンガーに「規模も大き過ぎる上、技巧的に過ぎる」と言われて差し替えた、とほぼ断定できる曲である。実際にどれだけ超絶技巧な曲なのか? を聴衆の皆様はご自分の耳で確かめてほしい。『踏み込みの良い佐伯周子のピアニズム』が堪能できることだろう。

 D916C は、『シューベルトのピアノ曲中最大規模の終楽章』である。そう、ピアノソナタ第20番イ長調D959 の終楽章よりも大きい!(またはほぼ同規模)
 交響曲「グレート」終楽章並み、と考えて頂いて良い。是非聴いて頂きたい。
コメント
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