Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

『作品18』はいつ『出版用に作曲』されたのか?(No.1664)

2009-07-08 23:30:24 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
楽譜を読み始めると、書くのを忘れて読みふけってしまうバカな私高本。やっと書くことができる。新シューベルト全集楽譜、主題カタログ新版(ベーレンライター新シューベルト全集)、主題カタログ旧版 を全部読まないと全貌が掴めないのが、「シューベルト舞曲」の特徴の1つ。


 ベーレンライター新シューベルト全集「舞曲I」を開くと、作品18 の舞曲はあちらこちらに散らばっていることがわかる。

目次には D番号 も 作品番号 も掲載されていない


ので、丹念に全頁をめくって読む(本当!)

  1. Brown Ms.9 (1815) 1曲 W9

  2. Brown Ms.37(1815/1816?) 2曲 E2,E3

  3. Brown Ms.29 (1818.11 Zselis) 2曲 E1,E8

  4. Brown Ms.34 (1818 - 1820) 11曲 L1,L2,L3,L5,L10,L11,L15,L16,L17,L14,L13

  5. Brown Ms.38 (1820.10-12) 6曲 L4,L6,L7,L8,L9,L12

  6. Brown Ms.39 (1821.03.08 - 05.20) 1曲 W2

  7. Brown Ms.40 (1821? or 1820.05?) 2曲 W5,W8

  8. Brown Ms.41 (1821.05?) 2曲 (W5),(W8)

  9. Brown Ms.42 (1821.07) 3曲 W1,W3,(W2)

  10. Brown Ms.43 (1821.08) 2曲 (W2)

  11. Brown Ms.48 (1823?) 1曲 (E8)


となっている。作曲年については、新シューベルト全集の 楽譜ならびに「前書き」に書いてある通りである。収録曲数は上記の通りだが、同一曲がいろいろな曲集に含まれているので注意が必要。

作品18 = D145 の自筆譜は、11の塊が残っている


ことになる。
 特徴的なことは以下の通り。

  1. 1816年以前の曲は3曲のみ

  2. レントラー は、1818-1820作曲の Ms.34 に11曲、1820作曲の Ms.38 に6曲で全て自筆譜が存在している

  3. エコセーズ は1818年以前の4曲のみが自筆譜が残っている

  4. ワルツ は1曲の例外を除き、1821年の作曲で、「作品9」出版を計画して未収録になった曲と考えられる

  5. エコセーズ第8番はアーティキュレーションを緻密に施した同じ嬰ト短調稿を1823年に作り直しているが、「作品18」として収録された曲は ロ短調になっている


である。どうも

「12のワルツ」と「17のレントラー」は、シューベルト自身の心の中で「別の曲集」と判断


していたようだ。

  1. 「12のワルツ」 → 「オリジナル舞曲集 作品9」の姉妹作品

  2. 「17のレントラー」 → 「20のレントラー Ms.34」の改良作で、1820年末には作曲完了と推測


となる。このように考えると「第1部」と「第2部」に構成されていることがとても明瞭に見えて来る。
コメント
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