お菓子な時間

お菓子教室『 Rosen Bär 』のblog・・・

シュー生地が膨らむ理由

2011-03-15 18:17:27 | 製菓理論
ジェノワーズ(スポンジ生地)は、卵に沢山空気を抱き込ませる。
メレンゲも、卵白に空気を含ませる。
だから、スポンジ生地は膨らむのである。
なぜ卵に空気を抱き込む力があるのかは、また別の機会に・・・。

では、なぜシュー生地は膨らむのだろうか?
メレンゲや、スポンジ生地の様に、空気を抱き込ませるワケでは無い。

シュー生地の材料は、水(牛乳の場合もある)、塩、バター(油脂)、小麦粉、卵。
作った事がおありになる方なら、卵は溶いただけの状態、空気は含ませないで使用する事はご存じだろう。
作り方は、水分、油脂、塩を鍋で沸騰させ、火から外し、粉を一度に加え手早くかき混ぜる。
ひと塊りの餅状?になったら、デ・セッシェと呼ばれる作業を行う。
もう一度火にかけ、粉に含まれるでんぷんを更に糊状にしていくのである。

ここでのポイントは、水分をしっかり沸騰させ、でんぷんが糊になる状態を作る。
そして、粉は一度に加え手早く混ぜる事。
分けて入れたりすると、温度が下がってでんぷんが完全に糊になってくれないから。
小麦粉でんぷんの湖化温度は、ジャガイモのそれよりかなり高いので、
温度が高いうちに混ぜてしまわなければならない。
だから、粉を分けて加えるのは、温度が下がる元で、失敗してしまうのだ。
だけども、そんな風にしてやってしまった場合は、回避の方法もあるのだけれど・・・。

それから、更に生地に火を入れ、糊状にして行く。
これがオーブンの中で、生地をしっかり膨らませる事に繋がるのだ。
なぜなら・・・
まず、シュー生地を風船だと考えて欲しい。
袋から開けたばかりの風船は、膨らませる時、耳の後ろが痛くなる位、固くて膨らませにくい。
だけれども、風船を膨らませる前に、しっかり手で引っ張って何度か伸ばしたりすると、伸びやくなる。
これが、生地を炒める事なのだ。

次に生地を絞って、高温のオーブンに入れる。
市販の本によく、焼くときにオーブンの扉を開けないようにと書いてあるが、
なぜならば、シュー生地は、生地中の水分がオーブンの熱によって蒸発する時に、
生地を押し上げて空洞になるからなのだ。
だから、扉を開けてしまうと、庫内に冷たい空気が入るので、熱によって蒸発する力が弱まり、膨らんでいた生地も、しぼんでしまうのである。

生地を炒めて糊状にする事は、蒸発する時に、しっかり伸びる生地を作る条件の一つ。
そして、水分がしっかり蒸発してくれる為には、オーブンは開けないこと。
出来れば生地は、しっかりと糊状になって膨らみやすくなっている状態、
温かいうちに絞って、焼成するのが望ましい。

そして、後は、材料。
水分は水が一番生地が上がる。柔らかくもなりやすいけれど、しっかり膨らませたい人や、
シュ・アン・シュプリーズ(パイシュー)などには、これが向く。
パイ生地に火を入れるのは、時間がかかるので、焦げにくい水が適している。

こちらの生地は昔懐かしい味がする。
更に膨らませたい時には、ドレではなく、霧を吹く事をお薦めする。
ドレ(塗り卵)だと、たんぱく質である卵は熱凝固を起こすので、
生地の表面を固めてしまい、膨らむ力を妨げてしまうから。
水だと、まず表面が熱によって乾かないと、焼成し始めないので、
多少でも、ドレよりは焼き時間がかかる事になる。
霧が乾くその間にも、オーブンの下からの熱で生地を押し上げて、膨らむ力を助ける事が出来るのだ。

しかし、今の流行は、牛乳が混ざったもの。
少し固めに、厚めに仕上がる。
こちらの生地には、ドレの方が向いていると思う。

何かご質問のおありになる方は、いつでもどうぞ♪
コメント (8)
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